2020年4月7日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、第一回目の緊急事態宣言が発出されました。その後も、まん延防止等重点措置と緊急事態宣言が繰り返されるなか、苦難の続いたコロナ禍の飲食店ですが、工夫をして新たな取組みを始めるお店もありました。
OEM、商品開発に向けて本格始動「北野ラボ」
北野天満宮門前に店舗を構える人気カフェ「北野ラボ」。
こちらの特徴はなんといっても多種多様なコンフィチュールです。(※「コンフィチュール」・・・フランス語。フルーツを加熱処理したもので、ジャムに似ているが、一般的に、ジャムよりもフルーツの形状がかなり残されて、甘さが控えめである。)
オーナーパティシエが北は北海道から南は宮古島まで全国津々浦々の農家を訪ね、触れてきた果物を直接仕入れて製造しています。
北海道のハスカップ、青森のジェネバりんご、沖縄のパイナップル、宮古島の島バナナやパッションフルーツ、地元京都城陽のいちじくなど種類も豊富で、希少なコンフィチュール、シロップが揃っており、人気となっています。
20年以上お菓子作りに携わっているオーナーパティシエと全国の農家さんが協力して、果物が持っている本来の良さを伝える活動は、少しずつ実を結び始めています。
コロナ禍において本格始動したコンフィチュールの通販も好調だそう。
こういったコンフィチュールの販売に加え、店舗でのパフェやケーキの提供で既に人気の「北野ラボ」ですが、コロナ禍に新たに本格始動したスイーツレシピ開発事業、OEM(他社ブランドの製品を製造する事業)が斬新で話題となっています。
この事業は、長年培ったお菓子作りの技術と知識、経験を活かし、商品開発や出店で困っている同業者をサポートするというもの。
スイーツの新商品開発や販売、新店舗オープンを予定していて、サポートを必要としている事業者は意外と多く、OEMも通常の業者だと対応できるロットが非常に大きいため、小規模事業者では手が出せないという現状があります。
そこで北野ラボでは自店の工房を使い「小ロットでも対応可能なOEM」を実現し、コンサル、商品開発、スタッフ指導など幅広いサポートができる体制を整備しました。
その後、補助金を活用して自社ホームページを改修しこの事業をPRしたところ、ホームページを見た様々な企業から依頼がくるようになったとのことです。
こちらは京都の老舗「田中長奈良漬店」の新商品「奈良漬けバターサンド」。
連日発売と同時に売り切れる人気商品となっていますが、こちらも「北野ラボ」と共同開発した商品です。
オーナーパティシエが「田中長奈良漬店」から相談を受けて奈良漬けを試食した際、奈良漬け自体がとてもまろやかで美味しかったため、あまり手を加えず、奈良漬け本来の美味しさ感じてもらいやすい「バターサンド」を提案したのが商品化に繋がりました。
自社商品に力を注ぐだけでなく、長年の経験・技術を活かし、同業者をライバルではなく協業者として共に成長していくという新たなビジネススタイル。コロナ禍の苦境を乗り越えるヒントはこういった逆転の発想にもあるようです。
北野ラボ
住所:京都市上京区御前通一条上る馬喰町914番地
電話:075-496-8777
定休日:月曜日
営業時間:12:00~18:00(カフェのラストオーダーは17:30)
アクセス:京福電気鉄道(嵐電)北野白梅町駅より徒歩5分
ホームページ:
行列ラーメン店が仕掛ける斬新な通販事業「麺屋優光」
京都のオフィス街として知られる烏丸御池エリアに、まるでカフェのような佇まいのラーメン屋「麺屋優光」があります。コシの強い自家製麺に貝出汁、醤油を合わせたラーメンは評判となり、2017年の創業以来、連日行列ができる人気店です。
牡蠣、アサリ、シジミなどの貝出汁に醤油を加えたスープは、澄んだ見た目とは裏腹に、深みのある力強い旨みを持っていて、コシのある自家製麺ともよく絡む看板商品です。
コロナ禍においても、ラーメンをさっと食べて帰る一人客が多いため、居酒屋などに比べると悪影響が少ないそうですが、積極的に様々な仕掛けをしています。
そのうちの一つが、「イザメシ」とのコラボ商品の発売です。
イザメシとは、突然の災害時に備えた長期保存食を多数取り扱うメーカーで、単なる備蓄食ではなく、美味しさにこだわっているのが特徴です。麺屋優光とイザメシで共同開発した貝出汁醤油ラーメンは、なんと賞味期限3年という長期保存を実現。いざという時のために購入する方だけでなく、コロナ禍での巣ごもりのお供に購入する方も多いそう。
昨今、個人ラーメン店の通販が増えてきていますが、賞味期限が短いため、セットで購入した場合、早目に食べなければいけないのがデメリットになっています。3年保存なら気が向いた時に安心して食べられるのは嬉しいですね。
麺屋優光
住所:京都市中京区場之町588
電話:075-256-3434
定休日:木曜日
営業時間:11:00〜15:00、17:30〜22:00
アクセス:京都市営地下鉄烏丸線 烏丸御池駅より徒歩1分
ホームページ:
ホテルの屋上で養蜂!?「THE THOUSAND KYOTO」
2019年に京都駅前に誕生した「THE THOUSAND KYOTO(ザ・サウザンド京都ザ・サウザンド京都ザ・サウザンド京都)」のコンセプトはサステナブル・コンフォート・ホテルサステナブル・コンフォート・ホテル。
一人ひとりのパーソナルな快適を追求した場所として、自分の好きなスタイルで食を楽しむカフェやレストラン、自分らしくいられる部屋、心身を癒す施設などがあり、京都ならではのおもてなしや心づかいを体感できるホテルです。
こちらのホテルでは、屋上に巣箱を設置し、約10,000匹のセイヨウミツバチを迎えています。京都の花から集めたはちみつを採取し、今後、ホテルのレストランの食材として提供することや、瓶詰にしてはちみつを販売していくという地産地消プロジェクトに取組んでいます。
生態系の循環の中で草花を受粉させる重要な役割を担っているミツバチを京都駅前に立地する建物屋上で飼育することで、都市(京都市内)の緑化、生態系の維持に貢献することを目指すSDGsの取組みも兼ねています。
THE THOUSAND KYOTO
住所:京都市下京区東塩小路町 570番
電話:075-354-1000
アクセス:京都駅より徒歩2分
ホームページ:
-
記事を書いた人:京都速報
-
「京都での暮らしがもうちょい面白くなるWEBマガジン」を目指し、気になるアレコレ、新店グルメ、イベントなどを随時取材し紹介中。公式Instagramフォロワーは63,000人。 YouTubeチャンネル「ロジウラTV」でも京都のグルメ情報を発信しております。
https://kyo-soku.com/