京都ゆかりのあの人に聞く 私のお気に入りの京都 亀屋良長 8代目女将 𠮷村由依子さん
京都には千年を超える歴史に培われ、伝統・文化・自然など「京都の奥深い魅力」が感じられるスポットがたくさんあります。京都にゆかりの深い方々にとっての名所、思い出の場所とはどんなところなのでしょう。様々なエピソードと共に、お気に入りスポットをご紹介いただきます。第二弾は、老舗京菓子司「亀屋良長」8代目女将 𠮷村由依子さんです。
亀屋良長 8代目女将 𠮷村由依子さん
【プロフィール】京都市生まれ。同志社女子大学卒業後にパリに留学し、フランス料理を学ぶ。2001年亀屋良長8代目と結婚を機に和菓子の世界へ。現在は商品企画・開発、販売等を手がける。
亀屋良長
https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=5&tourism_id=1845
ホッとする懐かしい場所 賀茂川
和菓子は季節感をとても大切にします。意匠や菓名など、そのほとんどが「花鳥風月」の世界なのです。そういうこともあって、私は開放的な自然の中に身を置いて、花や鳥、周りの景色をぼんやり眺めているのが好きです。
そんな私がまずおすすめするのは賀茂川です。特に今出川通から北山通の河川敷は下流の三条や四条エリアを流れる鴨川と比べて川幅も狭く、緑も多く感じます。水辺では羽根を休める鴨や鷺、水遊びに興じる子どもたちの姿も微笑ましく、幼い頃、ここで毎日のように友達と遊んだ自分の姿を重ねては、懐かしい思い出に浸ることもあります。川上に広がる北山や、比叡山から続く東山の山並み、桜並木を飛び交う鳥たちの囀りを耳にしながら過ごしていると心身がリフレッシュするとともに、新しいお菓子のアイデアが自然と浮かんでくることもあるのです。
緑あふれる市民の休息地 京都御苑
豊かな自然と言えば京都御苑もおすすめです。明治期まで天皇のお住まいだった京都御所をはじめ、京都大宮御所、京都仙洞御所などを囲む約65haの広大な敷地に、宮家や公家の邸宅跡が点在する歴史的な一面と、100種を超える木々や昆虫、野鳥など、多様な生き物が見られる「森の博物館」としての一面をあわせもつ京都市のセントラルパーク。広々とした砂利道から横にそれるとうっそうと生い茂る木々を縫うように設けられた遊歩道が随所にあり、春は桜、夏の青もみじ、秋には黄色、紅色の紅葉が楽しめます。
歩き疲れたら中立売休憩所で一休みされてはいかがでしょう。同所は中立売御門近くにある休憩所で、ふんだんに木が使われたバリアフリーの開放的な建物。軽食や甘味を提供するレストランやお土産物など店が併設されており、屋内外問わず飲食物が持ち込めるので小さなお子さま連れにも嬉しいですね。京都御所は予約不要で通年拝観できるようになりましたから、観光で来られた方にもおすすめしています。
早朝に人混みを避けてゆったりと
人混みを避けて観光をしたいという方は早朝のおでかけがおすすめです。紅葉シーズンには大勢の観光客で賑わう東福寺も、早朝なら人影もまばらで、朝の陽光に映える紅葉の絶景を眺めることができます。また、上賀茂神社の境内にある小さなカフェでモーニングコーヒーをいただくのも気持ちがいいものです。同社の御祭神が降臨したと伝わる神山の湧水で一杯ずつ淹れてくれるのですが、焼き餅が2つもついて650円。京都随一と言われる古社と、おしゃれなカフェという取り合わせもユニークで、神々しい朝の空気に包まれながら極上のひとときが過ごせます。
亀屋良長から比較的近いところでは、壬生寺と元離宮二条城をおすすめしています。壬生寺は延命地蔵菩薩をご本尊とする古寺で、幕末に新選組が訓練場として使用していたことでも知られています。2月の節分と春・秋に催される壬生狂言は700年の伝統をもつ無言劇、つまりパントマイム劇で、小学生以上のお子さんなら親子で楽しめるのではないでしょうか。
世界遺産の二条城は徳川家康が築城し、徳川慶喜が大政奉還の意思の表明をした地で、いわば江戸幕府の初めと終わりを象徴する場所。近年はプロジェクションマッピングやヨガなど、ユニークなイベントが話題を呼んでいます。
弊社は「吉村和菓子店」という新ブランドで、体調を気遣う人でも食べられる和菓子をコンセプトに、天然甘味料や雑穀などを使った新しい和菓子にチャレンジしているのですが、いつも京都の魅力的な名所に創作意欲を刺激され、企画のヒントをもらっているような気がします。これからもそうしたことを糧に挑戦を重ね、京都の新名物となるような商品を生み出していきたいですね。
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ご紹介いただいた各スポット情報
・賀茂川(今出川通~北山通)
住所:賀茂大橋(京都市上京区梶尾町)から賀茂川沿いを北山大橋(北山通)まで
・京都御苑 中立売休憩所
・東福寺
https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=7&tourism_id=484
・上賀茂神社
https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=7&tourism_id=253
・神山湧水珈琲 煎
https://www.agf.jp/concept/kouyama/
・壬生寺
https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=7&tourism_id=468
・元離宮二条城
https://ja.kyoto.travel/tourism/single01.php?category_id=8&tourism_id=2020
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ライター:五島 望
写真:田口 葉子(写真1・3枚目)
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