雨の日のしっとりした京都の楽しみ方! 美術館・ギャラリー・重要文化財の邸宅…注目の観光スポット3選

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神社仏閣をはじめ、見どころの尽きない京都観光。予定通りにすべてを巡ることができればベストですが、どうしても左右されてしまうのが天気です。雨になった途端、どこに行けばいいかわからない…という人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、雨の日でも快適に過ごせる屋内の見学スポットをご紹介。美術館やギャラリー、重要文化財指定の邸宅など、見応えあるスポットばかりで、雨の日も充分楽しむことができますよ。

 

1.【嵐山】屋内から眺める美しい景色と貴重な日本画を「福田美術館」で堪能!

 

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雨の日に屋内で楽しめる観光スポットといえば、やはり美術館。京都には個性豊かな美術館がたくさんあります。いま、京都でもっとも注目を集めている美術館の一つといえるのが、2019年10月に嵐山にオープンした「福田美術館」です。

美術館があるのは、嵐山のシンボルともいえる渡月橋のたもと。嵐山は、かつて平安貴族たちの別荘地として愛された場所。有名な『小倉百人一首』が生まれた土地でもあり、古くから芸術・文化の発信地として栄えてきました。

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 ※伊藤若冲『蕪に双鶏図』(福田美術館所蔵)

福田美術館が所有するコレクションの中心は、江戸時代~近代にかけての日本画家の作品。1500点以上の貴重な作品を所蔵しており、時期替わりで展示されます。

特に力を入れているのが、竹内栖鳳(たけうちせいほう)や上村松園(うえむらしょうえん)、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)をはじめ、京都画壇の作品。“幻の作品”とされる有名画家の作品も多数コレクションしています。

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建物は洗練された和モダンのデザインで、伝統的な京都の町家の要素がちりばめられています。エントランスから展示室へと続く廊下は、日本家屋の「縁側」をイメージ。スタイリッシュで凛とした空間でありながら、季節の花が彩る庭園とのつながりも感じられる、まさに「縁側」を思わせるスペースとなっています。

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この廊下では、ガラスにプリントされた伝統的な網代紋様にも注目してみてください。高さによって線の太さが異なるので、外の景色が眺めやすいようになっているそうです。

また、こちらの美術館は、館内が自由に撮影できることでも話題となっています。撮影禁止のマークがついている作品を除き、展示室内でも自由に撮影できるんですよ。f:id:editplus:20210609195229j:plain

建物のあちこちに「和」のエッセンスが感じられる福田美術館。展示室は「蔵」をイメージして設計されたもので、“コレクションを守る”という思いが込められているのだとか。

また、展示室に用意されたガラスケースは、世界最高技術を誇るドイツ製で、高透過率はなんと92%! 映り込みがなくクリアに鑑賞できるのが大きな魅力です。作品によっては30㎝の距離で見られるので、有名画家の筆致までじっくり見ることができそうです。

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貴重な作品を堪能したあとは、ミュージアムカフェ「パンとエスプレッソと福田美術館」へ。人気ベーカリーが手掛けるカフェで、利用できるのは来館者のみ。無垢材の家具を配したカフェの特徴は、窓の向こうに広がる開放的なパノラマビュー!

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カフェでは、ドリンクのほか、パニーニなどの軽食やパフェなどのスイーツが楽しめます。この日はちょっとレトロなクリームソーダ600円をいただきました。景色を眺めつつ、作品の余韻に浸りながら、のんびりした時間を過ごすことができました。

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ミュージアムショップでは、展覧会の図録や資料はもちろん、気軽に使えるオリジナルグッズも充実。「ギルトフリーチョコレート(大麦スティック)」1200円や、「付箋」500円など、同館の所蔵作品をあしらったアイテムが揃っています。

貴重な作品はもちろん、カフェやミュージアムショップも魅力たっぷりの「福田美術館」。展覧会のチケットはHPでも購入できますので、ぜひチェックしてみてください。

福田美術館

住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16

アクセス:嵐電「嵐山」駅から徒歩5分

電話:075-863-0606

ホームページ:https://fukuda-art-museum.jp/

●~2021年7月4日【美人のすべてリターンズ】

●2021年7月17日~10月10日【京(みやこ)のファンタジスタ ~若冲と同時代の画家たち】

2.【嵐山】「嵐山 祐斎亭」でしっとり雨に濡れた緑と染色の世界を楽しもうf:id:editplus:20210609195423j:plain

次にご紹介するのは、染色作家・奥田祐斎(おくだゆうさい)氏が活動拠点とするアートギャラリー「嵐山 祐斎亭」です。築150年以上の風格ある建物は明治期に建てられたもので、かつては料理旅館「千鳥」として営業していました。文豪や銀幕スターに愛され、芸舞妓さんも憧れたという格式ある場所だったそう 。

これまで、ギャラリーや建物を見学できるのは紹介者のみでしたが、作品はもちろん、趣ある建物や美しい景色を多くの人に楽しんでもらおうと、2020年秋から一般公開が始まりました。

木々に囲まれた邸宅なので、しっとりとした雨の日もよく似合いそう。窓から、雨に濡れた緑を眺めるのもすてきな時間ですね。f:id:editplus:20210609195340j:plain

まず案内されたのは「川端康成の部屋」。名前の通り、料理旅館時代に川端康成が執筆を行った部屋で、長編小説『山の音』はここで執筆されました。当時、この部屋は離れだったそう。喧噪をまったく感じさせない静かな空間は、執筆にも集中できそうですね。

窓の向こうには、生い茂る緑と大堰川が広がります。かつて、平安貴族が舟遊びを楽しんだという大堰川。1200年前の歴史が感じられる美しい景色は、いつまで眺めていても飽きません。雨の日であれば、木々の緑がより鮮やかに見えそうです。

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目の前に迫る緑を眺めながら、お抹茶とお菓子をいただきます。こんなすてきなロケーションでお抹茶をいただける機会はなかなかありません。小鳥のさえずりや川のせせらぎに耳を傾けながら、ゆったりとした贅沢な時間を過ごせます。

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お抹茶を楽しんだあとは、館内を自由に見学。撮影も自由に楽しめますよ。話題になっているのが、「まる窓の間」。黒いテーブルに窓の向こうの景色が映りこむ、幻想的なリフレクションを撮影できるのです。あまりに人気だったため、当初一つだったテーブルを二つに増やしたのだとか! 

「まる窓の間」の隣には、小さな個室と茶室もあり、どちらの部屋も川に面するように作られていて、こちらの部屋と同様に、美しい景色を楽しむことができます。

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廊下を一番奥まで進むと、「夢こうろ染 ギャラリー」があります。こちらが祐斎氏の作品を展示・販売するギャラリー。「夢こうろ染」とは、天皇のみが着用できる第一礼装に使用される「黄櫨染(こうろぜん)」を現代に再現した染色方法です。

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「黄櫨染」の大きな特徴は、光によって色が二つに変化すること。祐斎氏はその謎を解明し、新しい色のバリエーションを加えて「夢こうろ染」を生み出しました。普通に見るとグレーのように見える花柄が、光を当てると赤く変化。ギャラリーでは、この変化を実際に見ることができます。

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ギャラリーの隣には工房があります。祐斎氏が約3年かけて見つけたのがこの場所だったとか。窓の向こうに大堰川の景色が広がり、開放感抜群。美しい作品の数々はこんなすてきな空間から生まれていたのですね。

こちらの工房では染色体験(要予約)も行っています。シルクスカーフや手ぬぐい染めなどができるそうで、もう何度も体験しているリピーターさんもいるとか。見学してみて気になった方は、ぜひ染色体験にもチャレンジしてみてくださいね。

嵐山 祐斎亭

住所:京都市右京区嵯峨亀ノ尾町6

アクセス:嵐電「嵐山」駅から徒歩10分

電話:075-881-2331

見学料:2000円(お抹茶・お菓子付)

ホームページ:https://yusai.kyoto/

3.【下鴨】紫陽花と新緑が彩る「旧三井家下鴨別邸」でお茶を一服

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最後に紹介するのは、世界遺産・下鴨神社の南に佇む「旧三井家下鴨別邸」。その名前の通り、豪商・三井家の別邸として大正14年(1925年)に建てられたもの。明治から大正にかけて建設された近代和風建築として、国の重要文化財に指定されています。

かつて、この辺りは三井家の祖霊社「顕名霊社(あきなれいしゃ)」が遷座された特別な場所でした。参拝に訪れたときの休憩所として利用するため、大正14年(1925年)にこの旧邸が建てられたそうです。一般公開が始まったのは2016年10月。それでは、歴史と格式ある建物を見学してみましょう。

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建物は、主屋、玄関棟、茶室(通常非公開)で構成されています。庭に面して造られた主屋は、三井家の木屋町別邸から移築された建物です。

3階には東山を一望できる望楼がありますが、2~3階は通常非公開。年に数回行われる特別公開で見学することができます。次回の2階の公開は2021年8月20日(金)~22日(日)、27日(金)~29日(日)の計6日間の予定(3階は同期間は公開なし)。ぜひHPをチェックしてみてください 。

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主屋の西側には玄関部分として増築された玄関棟があります。内部は書院造を基調としながら、床に絨毯を敷いたり、天井を高くしたり、洋式居室として使われていたことが分かります。また、洗面室などの意匠に洋風の要素が取り入れられているのも特徴です。

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建物の前面に広がるのは、ひょうたん型の池を配した苔地の庭園。雨の日には苔が生き生きとして、より一層美しい景色が楽しめます。築山や鞍馬石が配された奥側の庭園は、周囲にめぐらされた園路を歩くことも可能です。   

f:id:editplus:20210610160124j:plainそして、梅雨シーズンのお楽しみといえば紫陽花。邸内西側には、タマアジサイ、ガクアジサイ、ヤマアジサイが約400株も。文化財保護活動費を活用して2018年に植栽されたものですが、京都の紫陽花スポットとして多くの人に親しまれています。

2021年6月20日(日)、26日(土)、27日(日)には、4日間限定で初夏のあじさい呈茶(要予約)を開催。非公開の茶室や2階の座敷で、「鶴屋吉信」が手掛けるオリジナルデザインの和菓子「彩夏」とお抹茶をいただくことができます。少人数事前予約制のため早めの予約がおすすめですよ。

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「あじさい呈茶」は期間限定ですが、1階のお座敷であればいつでもお抹茶やコーヒーをいただくことができます。メニューは、お抹茶セット600円や小川珈琲のコーヒー400円など。雨に濡れるお庭を眺めながら、のんびりひと休みしてみませんか。

旧三井家下鴨別邸

住所:京都市左京区下鴨宮河町58-2

アクセス:市バス「葵橋西詰」から徒歩5分

電話:075-366-4321

見学料:500円

ホームページ:https://ja.kyoto.travel/tourism/article/mitsuike/

●2021年6月20日・26日・27日【初夏のあじさい呈茶】

●2021年8月20~22日、27~29日【二階特別公開】 

美術館やギャラリーなど、雨の日の京都観光にぴったりな屋内の見学施設を3つご紹介しました。話題の美術館や、昨年一般公開が始まったばかりのギャラリー、重要文化財に指定される貴重な建物など、見ごたえあるスポットばかりです。

作品、建物、庭園など、どの施設もたくさんの見どころがたくさんあり、充実した京都観光を楽しむことができそうです。雨の日ならでは情緒あふれる風景もすてきなので、ぜひお出かけしてみてくださいね。

※掲載している価格は2021年6月時点の税込価格です。

※取材・編集:JTBパブリッシング

 

この記事を書いた人:るるぶ編集部

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全国各地の「見る」「食べる」「遊ぶ」を徹底的にガイドした旅行情報誌『るるぶ』の編集部です。神社仏閣やグルメ、おみやげ、話題のニュースポットなど、京都のお出かけにかかせない情報を幅広く網羅。旅行者はもちろん、地元の方にも役立つ情報を日々チェック!

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