2024年の大河ドラマ「光る君へ」は紫式部が主人公ですね。京都でゆかりの地を散策して、平安時代に思いを馳せてみませんか?紫式部や源氏物語を感じられ、なおかつ地下鉄・バス1日券でお得に巡るモデルコースをご紹介します。
紫式部とは
紫式部は平安時代中期に生まれた女性です。本名は諸説ありますが「香子」ではないかと言われています。曾祖父は藤原兼輔、父は藤原為時(ためとき)でともに歌人・詩人として名を成し、紫式部も幼い頃から学問に親しみました。
999年頃に結婚し、一人娘の賢子(のちの大弐三位)を出産します。しかしまもなく夫と死に別れてしまいました。その後、「源氏物語」を執筆します。
1005年頃に宮中に出仕、「藤(とうの)式部」と呼ばれ、時の権力者・藤原道長の娘であり一条天皇の中宮である彰子(しょうし)に仕えるようになりました。源氏物語の登場人物にちなんで「紫式部」と呼ばれるようになったとされています。
百人一首で有名な「めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに雲がくれにし夜半の月かな」という歌も残しています。
▽ 京都市内の主な紫式部ゆかりの地一覧(PDF)
https://global.kyoto.travel/resource/global/download/159-pdf.pdf
地下鉄・バス1日券とは
京都市内には紫式部ゆかりの地がたくさんあります!効率よくお得に巡るには地下鉄・バス1日券を使うと便利です。
発売価格:大人1,100円 小児550円
発売場所:市バス・地下鉄案内所、定期券発売所、地下鉄各駅、京都総合観光案内所(京なび)ほか
紫式部ゆかりの地を巡るモデルコース
まずは、京都御苑・廬山寺へ
京都駅から地下鉄に乗る【京都駅→地下鉄烏丸線・今出川駅】
京都駅の地下には地下鉄京都駅の改札口が4か所あるので、お近くの改札に入りましょう。地下鉄「烏丸(からすま)線」の「国際会館行き」に乗車し、5駅目の今出川駅で下車します。所要時間は約10分です。
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徒歩で京都御苑へ
地下鉄今出川駅に到着したら、3番出口から出て地上に上がります。南北に走る烏丸(からすま)通を南へ進み、乾御門や中立売御門から京都御苑に入りましょう。
紫式部スポットその1 京都御苑
紫式部ゆかりのスポットその1は京都御苑です。
明治維新以降に、天皇の住まいであった京都御所周囲の公家屋敷街の建物などが取り払われ公園になり「京都御苑(きょうとぎょえん)」と呼ばれるようになりました。今でもこの中に京都御所や京都大宮御所・京都仙洞御所、京都迎賓館などがあります。
紫式部の時代には御所(内裏)は約2㎞ほど西の千本丸太町周辺にありました。しかし、たびたび火事で焼失したので、摂関家の邸宅を一時的に皇居とする里内裏(さとだいり)が置かれるようになり、1331年以降に今の場所が正式な御所になりました。
御所といえば紫式部の職場ですね。京都御所では事前申し込み不要での通年公開されています。大事な儀式を行う場であった紫宸殿(ししんでん)や天皇が日常生活を過ごした清涼殿などを参観してみましょう。
宮内庁参観HP https://sankan.kunaicho.go.jp/multilingual/information.html
また、道長邸であった土御門邸や紫式部が仕えたとされる枇杷(びわ)殿も京都御苑内にあります。ぜひ駒札を探してみてくださいね。
紫式部スポットその2 廬山寺
京都御苑の隣に廬山寺(ろざんじ)があります。廬山寺は天台圓浄宗の大本山で、正しくは廬山天台講寺といいます。938年に元三大師が船岡山の南に創建し、天正年間(1573~1593)に現在地に移転しました。この場所は紫式部の邸宅跡で、源氏物語を執筆した場所だといわれています。
紫式部の邸宅は曾祖父の藤原兼輔から伝えられた広いもので、鴨川の堤防に接していたため堤邸と呼ばれていたそうです。現在の本堂は京都仙洞御所の一部が移築されたものです。
「紫式部邸宅跡」と書かれた素敵な御朱印もいただけます。
また6月末~9月初めごろは「源氏庭」に桔梗が咲き誇ります。美しい庭を眺めながら、源氏物語を執筆している紫式部に想いを馳せましょう。
廬山寺から南に5分ほど歩くと藤原道長が建てた法成寺跡の石碑と駒札も見ることができます。
下鴨神社へ
市バスで下鴨神社へ【「府立医大病院前」バス停→「新葵橋」バス停】
廬山寺から徒歩約5分の河原町通にある「府立医大病院前」バス停Bのりばから4系統または205系統に乗車しましょう。
「新葵橋」バス停を降りて信号をわたったら右手に糺(ただす)の森が見えてくるので、そこから下鴨神社へ入りましょう。
紫式部スポットその3 下鴨神社
下鴨神社は正式には賀茂御祖(かもみおや)神社といいます。賀茂建角身命(かもたけつのみのみこと)と玉依媛命(たまよりひめのみこと)がご祭神で、平安京以前から歴史のある神社です。
下鴨神社は源氏物語の「須磨」の巻に出てきます。帝への謀反の疑いをかけられた光源氏が須磨に流される前に、下鴨神社の糺の森で「憂き世をば今ぞ別るるとどまらむ名をば糺の神にまかせて」という歌を詠むシーンがあります。当時、糺の森(ただすのもり)は禁足地で悪人が踏み入ると罰が当たると信じられていました。無実の罪を負った光源氏は、自分に罪があるかどうかを神に問うという意味合いで歌を詠んだのでしょう。現代では人々に親しまれている糺の森ですが、今でも神秘的な空間を感じることができます。
また、下鴨神社と上賀茂神社の例祭である葵祭(賀茂祭)は、源氏物語の「葵」の巻に出てきます。光源氏の正妻である葵の上と、元恋人の六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の牛車が葵祭見物の場所を巡って争うシーンは心が揺さぶられます。
王朝文化との関りが強い下鴨神社では、源氏物語にちなんだ「縁結びおみくじ」をひくことができます。源氏物語に出てくる和歌にちなんだ占いが出てくるのでわくわくしますね。男性用と女性用のおみくじから好きな方を選んでひきます。
上賀茂神社へ
市バスで上賀茂神社へ【「下鴨神社前」バス停→「上賀茂神社前」バス停】
下鴨本通にある「下鴨神社前」バス停 Bのりばから4系統に乗車しましょう。「上賀茂神社前」バス停を降りたら上賀茂神社はすぐそこです。
紫式部スポットその4 上賀茂神社
上賀茂神社は正式には賀茂別雷(かもわけいかづち)神社といいます。賀茂別雷大神がご祭神で、平安京以前から歴史のある神社です。
上賀茂神社には、玉依比売命(たまよりひめのみこと)が賀茂川の上流に流れてきた矢を拾ったら、賀茂別雷大神という立派な神を宿されたという神話があります。玉依比売命をまつられているのが「片山御子(かたやまみこ)神社」で、縁結びや安産のご利益があると言われています。この神社に紫式部がお詣りにきたことがあるんです。
紫式部は片山御子神社(通称 片岡社)で「ほととぎす声まつほどは片岡のもりのしづくに立ちやぬれまし」という歌を詠みました。ほととぎすが鳴くまで、片岡社の裏の片岡の森から落ちてくる朝の雫に濡れながら、人を待っていましょうという内容です。ほととぎすは渡り鳥なので、神様のご神意をうけて大切な人に会えるようにという歌ですね。
ここでは、今も1000年前と変わらない紫式部と同じ場所でお祈りをすることができます。
片山御子神社には華やかに紫式部を描いた絵馬があります。丸くてかわいい縁結びのお守りもおすすめです。
市バスで紫式部墓所へ【「上賀茂御薗橋」バス停→「北大路堀川」バス停】
上賀茂神社を出て賀茂川の御薗(みその)橋を渡ると「上賀茂御薗橋」バス停があります。9系統(京都駅行き)か37系統(四条河原町行き)に乗車しましょう。
「北大路堀川」バス停Aのりばを降りて、北大路堀川の交差点を南西に進めば約5分で到着します。
紫式部スポットその5 紫式部墓所
最後のスポットは紫式部のお墓です。紫式部顕彰会の方々が日々掃除をされて、とても美しく保たれています。小野篁のお墓と並んでいるのは、男女の愛欲の物語を描いて地獄に落ちそうになった紫式部を、篁が助けたからだという説もあります。
このあたりは「紫野」と言う土地で、平安時代に中級貴族の別荘が多かったと言われています。紫式部ゆかりの土地です。静かな気持ちで紫式部をしのびましょう。
バスと地下鉄で京都駅へ【「北大路堀川」バス停→地下鉄烏丸線・北大路駅】
「北大路堀川」バス停 Dのりばから1系統、204系統、205系統、206系統、北8系統、M1系統に乗車しましょう。
「北大路バスターミナル」おりば、またはCのりばで降りたら地下につきますので、床や看板の案内にしたがって地下鉄のりばに移動します。緑の案内サインを辿っていきましょう。
地下鉄北大路駅に到着しました。烏丸線で京都駅に戻ることができます。
もし時間に余裕があれば、宇治まで行くこともおすすめします。
京都市内から南にある宇治は源氏物語のまちといわれていて、「宇治十帖」の舞台になっているんです。紫式部像や「宇治市源氏物語ミュージアム」もあり、さらに紫式部や源氏物語への理解を深められること請け合いです。
行き方は、北大路堀川バス停で205系統に乗り、地下鉄・西大路御池駅まで到着すると、地下鉄東西線・六地蔵行きに乗り換えます。地下鉄六地蔵駅から京阪六地蔵駅に乗り換え、京阪宇治線で宇治に到着します。
所要時間は約1時間15分で、地下鉄・バス1日券を使えば、残りの京阪電車の料金は220円です。源氏物語ミュージアムの最終入館16時半、閉館17時なので、時間にはご注意くださいね。
まとめ
紫式部ゆかりの地を巡るモデルコースはいかがでしたか?
紫式部や源氏物語のスポットが盛りだくさんでしたね。地下鉄・バス1日券を使えば、今回のルートだと普通で行くより340円お得に回れます♪ 大河ドラマの予習・復習もかねて、ぜひ京都観光を楽しんでくださいね。
▽ 京都市内の主な紫式部ゆかりの地まとめ(PDF)
https://global.kyoto.travel/resource/global/download/159-pdf.pdf
参考文献
・紫式部 その生涯と遺勲 角田文衞 紫式部顕彰会
・与謝野晶子訳 紫式部日記・和泉式部日記 訳与謝野晶子 角川ソフィア文庫
・嵯峨嵐山文華館ホームページ
・紫式部顕彰会ホームページ
・糺の森財団ホームページ
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記事を書いた人:Kyoto Love.Kyoto
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京都の街、そして京都にかかわる人たちの役に立ちたい。そんな想いを原点に、人と人、人と地域との交流のなかで見つけた物語をまちかどの語り部たちが発信しています。智恵の循環が紡ぎ出す、京都人でもよく知らない京都、そして深遠なる京都の魅力を伝えていきます。
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