引き算の美学!京都発祥の伝統文化「いけばな」に触れよう

旅館やホテルに行ったとき、そこに花が生けてあると、それだけで嬉しく、特別な気分になりますよね。そんな素敵な力を持ついけばなは、室町時代に京都で生まれました。現在も京都はいけばなの中心地。気軽にいけばなに触れられる機会がたくさんありますよ。

いけばなとは

いけばなとは、一言でいうと、植物を用いた造形作品です。いけばなの起源は、仏教伝来とともに始まった「供花(くげ)」であると言われています。

そして、室町時代に書院造の建物が作られ始めると、それまでは主に神仏に供えるものであった花が、床の間に飾るために用いられるようになりました。当時は、単に「美しい花を花瓶に挿して飾る」ということに主眼が置かれていましたが、六角堂の僧侶であった池坊専応(せんおう・せんのう)は、それを発展させて草花の命を見つめて「器の上に自然の姿を表現する」という思想を唱え、花の生け方の理論を整えていきました。ここから、現在に続くいけばなの文化が成立しました。

立て花  画像提供:華道家元池坊

室町時代に生まれたいけばなは、時代の変化に従って少しずつ形を変え、また「流派」として枝分かれしていきます。では、実際、どのようなきまりに則って花を生けているのでしょう?ここでは、数ある流派を代表して、池坊の3つのスタイルを見てみましょう。

立花(りっか)

立花は、室町時代に、仏前に供えられた「立て花」をもとにして成立した、いけばなの最も古い様式です。木を山、草を水の象徴として、大自然の景観美を表現します。

立花  画像提供:華道家元池坊

生花(しょうか)

生花は、江戸時代中期に成立した形式で、1~3種の花を用い、花の命が生まれる瞬間の美しさや、草木の懸命に生きる姿を表現します。立花に比べて手軽に生けられることから、庶民や女性の間にも流行しました。

自由花

近年のライフスタイルの変化に伴って生まれたのが自由花です。自由花には定まった型がなく、草木の美を様々な視点から見出し、自由に生けていきます。

自由花  画像提供:華道家元池坊

いけばなを見に行こう・体験しよう

いけばなに興味が出てきた方は、実際にいけばなを見に行ってみましょう。京都では毎年大規模ないけばなの展示会やイベントが行われているので、気軽にたくさんの作品に触れることができます。また、いけばなについての知識を深めたり、いけばなの体験ができる施設も併せてご紹介します。

イベント

春のいけばな展

池坊の春のいけばな展は、毎年春に行われるいけばなの展覧会です。池坊いけばなの最高教育機関である池坊中央研修学院で学ぶ華道家たちの作品を中心に、期間中延べ約700点のいけばなが展示されます。

旧七夕会池坊全国華道展

旧七夕会池坊全国華道展は、江戸時代前期から続く日本最古の花展で、毎年11月に行われます。池坊の家元や、全国の華道家による約900点にも及ぶ作品が展示されます。

>池坊公式HP

 

旧七夕会池坊全国華道展   画像提供:華道家元池坊
嵯峨天皇奉献 華道祭

嵯峨天皇奉献 華道祭は、旧嵯峨御所大本山 大覚寺で毎年春に行われます。大覚寺では、いけばなの流派の一つである嵯峨御流を代々受け継いでおり、このイベントでは嵯峨御流のいけばなを多数見ることができます。

いけばな嵯峨御流公式HP

華道京展

華道京展は、昭和25年から毎年春に開催されている、京都最大のいけばなの祭典です。京都いけばな協会に所属する29流派の作品が一挙に見られます。大丸京都店内の大丸ミュージアムで開催されるので、買い物のついでにも行きやすいのが嬉しいですね。

施設

六角堂・いけばな資料館

六角堂は、正しくは紫雲山頂法寺といい、聖徳太子が建立した古刹です。本堂が六角形をしていることから六角堂と呼ばれています。六角堂の住職は代々「池坊」を名乗っており、いけばなを成立させた池坊専応もその一人です。その後も、いけばなの池坊の家元は、六角堂の住職も兼務しています。
いけばな発祥の地である六角堂の境内の池坊ビル内にあるいけばな資料館には、いけばなに関する歴史的な資料が展示されています。通常は予約制ですが、上に挙げた「春のいけばな展」「旧七夕会池坊全国華道展」の期間中は予約なしで入館できるので、併せて訪れるのがオススメです。

六角堂   画像提供:華道家元池坊
さくら日本文化体験

二条城近くにあるさくら日本文化体験では、池坊の講師によるいけばな体験ができます。英語対応可能なので、外国から来た友達を連れていくのにもぴったりの施設です。いけばなの他にも、茶道や飾り巻き寿司の体験もできますよ。

いけばなをやってみよう・習ってみよう

自分でもいけばなをやってみたいと思ったとき、まずオススメの方法は、市販のいけばなの本や雑誌を買って、その中の作品を真似することです。

いけばなでは、最も基本的な道具である花ばさみをはじめ様々な道具を使いますが、本を見て真似するだけであれば、専用のものを揃えなくてもいいかもしれません。例えば、自由花であれば、普段使っているグラスやお皿、空き缶なども花器として用いることがあります。そして、本や雑誌では物足りないと感じるようになったら、通いたいいけばな教室を探してみましょう。


いけばなの本場である京都では、いけばなを見る機会も、教わる場所も豊富にあります。行きやすい展覧会に行ったり、お客様が来るときに雑誌を真似て花を飾ったりすることから、少しずついけばなに親しんでみませんか。

記事を書いた人:千賀 佳織

青森県出身のきもの伝道師 兼 ライター。母の実家が小さい呉服店であったことから、幼少期より着物に興味をもち、就職を機に京都に移住しました。着物や京都の文化を学ぶ日々を過ごしています。わかりやすく親しみやすい記事を目指しています。お気に入りイベントは天神市。

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