【京都を楽しむ自転車旅】アートも自然も大満喫!  哲学の道・岡崎編

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京都きっての芸術とカルチャーの中心地、岡崎エリア。リニューアルしたばかりの京都市京セラ美術館も話題ですが、東山の雄大な山並みと琵琶湖から引いた疏水が織りなす絶景も見逃せません。今回は岡崎をぐるりと巡ったのち、疏水に沿って延びる散歩道「哲学の道」を北上し、界隈の名所を訪ねました。小回りのきく自転車だからこそ叶う、アートと自然の"いいとこどり"。知的好奇心を刺激してくれる、最高の1日をご紹介します。

紹介スポットMAP  所要時間:約5時間

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※自転車を駐輪の際は、寺社・施設・店舗等が案内する場所に停めていただくか、付近の有料駐輪場(https://kyoto-bicycle.com/parking)をご利用ください。近隣の方の迷惑になる場所には決して駐輪しないようにお願いします。

 

撮影時期の関係上、当記事ではヘルメットを着用しておりませんが、2023年4月から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されました。レンタサイクル利用時はヘルメットの着用をお願いいたします。詳しくは以下のサイトをご覧ください。

自転車ヘルメット | 京都市サイクルサイト

 

まずは東山駅近くのレンタサイクルへ

旅の起点は、地下鉄 東西線の東山駅。まずは、駅から徒歩2分の「京の楽チャリ 東山三条店」で自転車をレンタルします。こちらの特徴は、電動アシスト自転車のレンタル専門店であること。細い路地もスイスイ走れる小型から標準タイプ、スポーツタイプ、親子仕様まで、目的に合わせてさまざまなモデルを選ぶことができます。今回は標準タイプで、京町家風のチョコレート色と、神社のように鮮やかなオレンジ色をセレクト。地図を見ながら自転車の交通ルール・マナーを教わったら、早速出発です!

 

京の楽チャリ 東山三条店
住所:京都市左京区南門前町538-3
電話番号:0120-318-319
営業時間:9:00~18:00
定休日:不定休
料金:電動アシスト自転車 1日 2,200円(学生1,600円)、普通自転車 3段変速1,100円など
ホームページ:https://rentacycle.jp
※新型コロナウイルス感染症予防のため、臨時休業の可能性あり。ご利用の際は、事前にホームページ または 電話で事前予約するのがおすすめです。

「無鄰菴」で庭園のいろは入門

(京の楽チャリ 東山三条店~無鄰菴の移動:約1km/約5分)

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最初に向かうのは国の指定名勝「無鄰菴(むりんあん)」。明治・大正期の政治家 山縣有朋が、自ら指揮をして造営した別荘です。

実は岡崎〜南禅寺界隈は、明治以降に大人気になった別荘地。政財界の大物たちが愛した華麗な邸宅や庭園が、今も大切に残されているのです。

無鄰菴の庭園に足を踏み入れた瞬間、目の前にぱっと絶景が開けます。正面にそびえる東山を主役に、琵琶湖疏水から引いた清流がさらさらと流れるなか、のどかな里山の風景が広がります。手前から見えないように設計されていますが、奥へ歩みを進めると沢を渡る飛び石や、緑に覆われた滝も! 多彩な庭の表情に出会うことができます。

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初めての来訪なら、1時間に2回に開催されている「10分無料ガイド」に参加するのもおすすめ(2021年1月現在)。庭園の管理を手がけるスタッフさんが、庭師の視点から絶景ポイントや日々のお手入れの極意を解説してくれて、目からウロコの発見づくしです。

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母屋には、180度のパノラマで庭園を眺められる庭園カフェもあります。お抹茶やコーヒーを味わいながら、心ゆくまで過ごすことができますよ。

 

無鄰菴
所要時間:60分
住所: 京都市左京区南禅寺草川町31
電話番号: 075-771-3909
開場時間:4-9月 9:00〜18:00、10-3月 9:00〜17:00(※最終入場は、閉場時間の30分前まで)
休場日:無休
入場料:600円(小学生未満 無料)
ホームページ:https://murin-an.jp
駐輪場:駐輪可(受付で声をかけ、場所を聞いてください)
※新型コロナウィルス感染症拡大防止のため、現在、1時間毎の事前予約制を実施(2021年1月現在)。上記ホームページより予約してください。

青もみじがそよぐ「永観堂」を散策

(無鄰菴~永観堂の移動:約900m/約5分)

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続いて、哲学の道近くにある「永観堂」を目指します。観光客でにぎわう南禅寺の参道を抜け、大きな三門をほれぼれと眺め、小さな寺院が立ち並ぶカーブを抜けて……。距離は短いですが、京風情満点のルートです。

永観堂は9世紀創建の浄土宗寺院。平安時代から知られる紅葉の名所で、約3000本のもみじが境内を彩ります。秋はもちろん、春や初夏の新緑もとても爽やか。

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東山の斜面に沿って境内が広がっているため、一番高い場所にある多宝塔からは、京都市内を一望できます。諸堂をつなぐ渡り廊下は「臥龍廊(がりゅうろう)」。見事な曲線美を、龍の背中に例えているそうです!

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永観堂といえば、風光明媚な庭園にも注目を。書院の枯山水庭園のほか、大きな方丈池に木々や極楽橋が映り込む様子も圧巻です。ちなみに、こちらのご本尊は珍しい「みかえり阿弥陀」。後ろを振り返って、人々を導く慈悲深いお姿が印象的です。ぜひ、お参りをお忘れなく。

 

永観堂 禅林寺
所要時間:40分
住所: 京都市左京区永観堂町48
電話番号:075-761-0007
拝観時間:9:00〜17:00(受付は16:00まで)
休観日:なし
拝観料: 600円(諸堂および庭園)
ホームページ:http://www.eikando.or.jp
駐輪場:専用駐輪場を利用

「京都伝統産業ミュージアム」で職人技にほれぼれ

(永観堂~京都伝統産業ミュージアムの移動:約1.2km/約7分)

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岡崎といえば、国立京都近代美術館、ロームシアター京都をはじめ、大小さまざまな美術館や劇場が点在する芸術の街。京都最大級のイベント施設 "みやこめっせ"の地下1階にある「京都伝統産業ミュージアム」も、京都らしい文化を体験できる場所のひとつです。

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こちらは、京都に伝わる74種類もの伝統産業品を一堂に紹介するミュージアムで、2020年春にリニューアルされたばかり。有名な西陣織や京焼・清水焼をはじめ、京扇子、能面に至るまで、千年の都・京都が脈々と受け継いできた、美と職人技の世界を堪能できます。

この日、入り口の壁をうめつくしていたのは繊細優美な友禅染めの着物たち。細やかな手仕事の素晴らしさにうっとり……! 入り口の展示は不定期で変わるそうなので、どんな展示に出会えるかは訪問時のお楽しみです。 

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館内では職人さんが実演されている日もあり、事前予約制で絞り染めやうちわ制作体験も可能です。さらに、ミュージアムショップも併設。現代の暮らしに合うグッドデザインの工芸品を見つけることもできますよ。

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京都伝統産業ミュージアム
所要時間:30分
住所: 京都市左京区岡崎成勝寺町9-1  京都市勧業館みやこめっせ 地下1階
電話番号:075-762-2670
開館時間:9:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:無休
入館料:無料(企画展観覧は有料の場合あり)
ホームページ:https://kmtc.jp

アートなカフェ「ENFUSE」で昼食

(京都伝統産業ミュージアム~ENFUSEの移動:約300m/約1分)

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そろそろお腹がペコペコ、お昼の時間です。2020年に大規模工事を経てリニューアルオープンし、話題となっている京都市京セラ美術館(京都市立美術館)へ向かいます。

風格ある建物は1933年(昭和8年)の開館当時のもの。新たに地下部分に「ガラス・リボン」と呼ばれるファサードが加わり、さらにモダンな印象に。ランチをいただくカフェ「ENFUSE(エンフューズ)」もこのエリアにあります。

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ENFUSEの魅力は、京都を中心に全国各地の生産者の「顔が見える」食材をいかした料理やスイーツ、ドリンクを終日楽しめること。ランチの一番人気は「京の素材のおかずプレート」(税込1,500円 *季節によって変動あり)。季節野菜と地元食材をたっぷり使った15種類のおかずが、ワンプレートに色鮮やかに盛り込まれていて、とてもフォトジェニック!

この日は、小蕪のすり流し、京もち豚のローストポーク、味噌ラタトゥイユなど……。素材のおいしさが体いっぱいにしみ渡ります。

*プラス150円(税込)で、吉田パン工房のバタールまたは赤米おにぎりも追加可能

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お腹に余裕があれば、スイーツもぜひ。おせんべいつきのプリンアラモードに、美術館の絵画コレクションや展覧会をモチーフに作られる"アートな和菓子"もスタンバイ。さらに、ご近所の岡崎公園や疏水沿いで楽しめる"ピクニックセット"のレンタルも(2021年春再開予定)。サイクリングのお供にもぴったりです。

ENFUSE
所要時間:60分
住所: 京都市左京区岡崎円勝寺町124 京都市京セラ美術館 B1F
電話番号:075-751-1010
営業時間:10:30〜19:00 (LO18:30)
定休日:月曜(祝日の場合は開館)
ホームページ:https://enfuse.jp
駐輪場:京都市京セラ美術館の専用駐輪場を利用

ラクラク坂道を上って「真如堂」へ

(ENFUSE~真如堂の移動:約1.3km/約8分)

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午後一番で向かうのは「真如堂」。10世紀創建の天台宗寺院で、正式名を真正極楽寺といいます。吉田山へ向かう坂の途中にあるので、選ぶルート次第では急勾配の坂を上りますが、金戒光明寺(黒谷さん)の東側を抜ければラクラク。電動アシストがついているので、なおさらです。

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一本道の参道をのぼると、広々とした境内が開けます。桜と紅葉の名所ゆえに、木々もたくさん。頰をなでるそよ風も心地いいんです。正面の本堂内は、平安期のご本尊が祀られる荘厳な世界。自然と身が引き締まります。

書院には、現代の造園家が手がけた2つの対照的な枯山水庭園があります。ひとつは、曽根三郎氏作の「涅槃の庭」。東山を借景に、お釈迦さまが涅槃に入られる様子を表しているそう。白砂は、雄大なガンジス川の流れを表しているとか……! もうひとつは重森千靑氏作の「随縁の庭」。幾何学的な造形がモダンです。

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知るほどに奥深い、日本庭園の世界。ますます虜になりそう!

 

真如堂(真正極楽寺)
所要時間:45分
住所: 京都市左京区浄土寺真如町82
電話番号:075-771-0915
拝観時間:9:00〜16:00(受付は15:45まで)
休観日:なし
拝観料: 書院・庭園 500円(特別拝観時は1,000円)
ホームページ:https://shin-nyo-do.jp
駐輪場:参道をのぼり、正門右脇の専用駐輪場を利用

哲学の道を通って「法然院」へ

(真如堂~法然院の移動:約800m/約5分)

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真如堂の東側の坂をビューンと下ると、あっという間に「哲学の道」に到着。琵琶湖疏水に沿って南北に延びる1.6kmの散歩道です。人の多い時は、自転車を押して歩くようにしましょう。

哲学の道の界隈には歴史ある寺社が点在していますが、おすすめは法然院。法然上人がかつて草庵を結んだ地を再興し、江戸時代に創建されたお寺です。

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素朴な茅葺きの山門をくぐった先は、豊かな自然に抱かれた静寂の世界。せわしない日常から離れ、心がすーっと落ち着いていくのが分かります。「白砂壇」と呼ばれる盛砂は"水"を表しているそうで、この間を通ることで心身を清めることができるのだとか。

法然院では、4月と11月に特別公開が行われており、書院内の拝観も可能です。特に4月は椿が盛りで、境内はぐんと華やぎますよ。

 

法然院
所要時間:20分
住所: 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30
電話番号:075-771-2420
拝観時間:6:00〜16:00
休観日:なし
拝観料: 無料(4/1〜7、11/1〜7の特別拝観中は有料)
ホームページ:http://www.honen-in.jp
駐輪場:総門前石段下

「松」の"大文字山パン"でむしやしない

(法然院~松の移動:約900m/約5分)

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いよいよ哲学の道の終点、銀閣寺界隈に到着。ちょっぴり小腹がすいてきたので、今出川通と白川通の交差点近くにあるパン屋さん「松」へ。名物は、すぐ目の前にそびえる大文字山に見立てた「大文字パン」(税込248円)。抹茶マーブルのブリオッシュの生地に小豆を練りこんだ和テイストのおやつパンです。入り口脇にベンチがあるので、その場でいただくこともできますよ。

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店主の阿尾訓志さんが手がけるのは、モチモチ・ふわふわ・全粒粉から選べる食パンやハードパンをはじめ、種類豊富なおやつパンなど。サンドイッチも充実しています。ご当地パンをおみやげにするのもいいですね。

 


所要時間:10分
住所: 京都市左京区浄土寺西田町73
電話番号:075-771-7550
営業時間:7:00〜19:00
定休日:日曜
駐輪場:店の前(敷地内)

「SIONE 銀閣寺本店」でおかいもの

(松~SIONE 銀閣寺本店の移動:約250m/約1分)

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今回の旅の終着点は「SIONE 銀閣寺本店」。京都生まれの磁器ブランド「SIONE」の直営店&カフェです。ブランドを主宰するのは、京都で300年以上続く窯元に生まれ、陶芸家として活躍する SHOWKOさん。

"読む器"をコンセプトに、彼女が創作した生命の物語を、マットな白磁に繊細な金彩の絵付けで描き出しています。月や風、雪などのうつろいゆく自然をモチーフにすることも。

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築100年近い旅館をリノベーションした店内には、まるで大切なジュエリーを飾るように、うつわがそっと並べられています。やわらかな陽射しを受けて、ちらちらと瞬く様子も美しい。

ラインナップは気軽に使える小皿やミニカップ、抹茶やカフェオレにも使える小さな碗も。本を読むように物語の世界にひたってもいいし、そこから自由に想像を膨らませて、お菓子や料理を盛り付けて楽しむのも素敵。いつものお茶や食事の時間を、より豊かで特別な存在にしてくれそう!

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あれこれ迷った後、小ぶりな酒器を丁寧に包んでもらい帰途へ……。

 

SIONE 銀閣寺本店
所要時間:20分
住所: 京都市左京区浄土寺石橋町29
電話番号:075-708-2545
営業時間:11:30〜17:30
定休日:火・水・木曜、不定休あり(* 2021年1月現在。通常は火・水曜休だが、新型コロナウイルス感染症予防のため)
ホームページ:https://sione.jp
駐輪場:

店の前(敷地内)または京都市銀閣寺観光駐車場を利用

https://kyoto-bicycle.com/parking

 

岡崎から哲学の道の終点まで北上しながら、アートや工芸、東山の自然も満喫できた大満足の1日でした。楽しい学びも癒しもあって、感性がより豊かになった気も…!? 電動アシスト自転車のおかげで、移動もとても快適でしたよ。

 

監修:有限会社 京都サイクリングツアープロジェクト

記事を書いた人:ENJOY KYOTO

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ENJOY KYOTOは京都の歴史や文化、伝統産業からコンテンポラリーな情報や人気のお店まで、京都を「知る」「歩く」「体験する」を同時に叶えるフリーぺーパー。京都人になりきって街歩きが楽しめるよう、とくに京都に住む人の感覚を重視した編集をしております。

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