そこで、今のような状況だからこそ、密を避けて桜が楽しめる穴場スポットをご紹介! 今回は、数多くの京都の風景を撮影されている写真家・中田昭さんに5つの桜スポットを教えていただきました。
今回、穴場の桜スポットを教えていただいた中田昭さんは、京都で活躍される写真家で、季節ごとに、京都のあらゆる神社仏閣を撮影されています。もはや「中田さんが京都で知らないお寺や神社はないのでは?」というほど。そんな京都のプロといえる中田さんおすすめの穴場桜スポットをご紹介します。
1.【京北】宝泉寺
まず中田さんが選んでくれたのは、京都市の西北部に位置する京北エリアの「宝泉寺」です。京北といえば、豊かな自然に囲まれたエリアで、京北ブランドのお米や野菜は直売所でも大人気。そんな京北にある「宝泉寺」とはどんな桜スポットなのでしょうか。
Q.宝泉寺はどんなお寺ですか?
《中田さん》 もともと宝泉寺は、高雄にある神護寺の塔頭寺院でしたが、南北朝時代に現在の京北に移転したそうです。市内中心部からはバスで約80分。街中の喧騒から離れて、周りの環境も広々していてとても魅力的なお寺ですよ。
Q.桜の見どころを教えてください。
A.《中田さん》 見どころは何と言っても、30年ほど前に植えられた「京紅しだれ桜」などの大木です。また、境内の裏山には約200本の桜が植林され、広々とした桜公園は今年4月に開園予定です。今後、京都の桜の新名所として人気になるのでは?と、予想しています。
桜の見ごろは、市内中心部より少し遅めの4月10日ごろ。例年は桜まつりが開催され、ご当地の草餅や山椒味噌などの名産品も販売されますよ。
宝泉寺
住所:京都市右京区京北下熊田町東旦15
アクセス:JR西日本バス「周山」からタクシーで5分
電話:075-852-0407
2.【御園橋~北大路橋】鴨川堤
次にご紹介するのは、京都市内の中心を流れる鴨川沿いの桜です。鴨川といえば散歩やピクニックを楽しむ人も多い、地元の人の憩いのスポットですよね。鴨川沿いといっても範囲はとても広いので、どこのどんな桜がおすすめなのかお聞きしました。
Q.鴨川堤のどの辺りの桜がおすすめですか?
A.《中田さん》 おすすめは、御園橋から鴨川に沿って、南へと続く堤防沿いの桜です。爛漫に咲いた桜の背景には北山や東山の山並みが広がって、爽快な気分が味わえます。
また、北山橋と北大路橋の間の東岸(植物園側)には「半木の道」という遊歩道があり、その道沿いに咲く枝垂れ桜の美しさは格別です。鴨川の流れへ大きく張り出した迫力ある枝ぶりを間近に見ることができますよ。
Q.お出かけに役立つ情報があれば教えてください。
《中田さん》 上賀茂神社参詣の橋である「御園橋」は、架け替えの改修が進んでいるので、今なら橋上から桜並木を見渡すことができますよ。この辺りは、市バスや地下鉄などの交通の便も良いので、市内の移動に慣れていない人にもおすすめです。
鴨川堤(御園橋~北山橋~北大路橋)
アクセス:市バス「上賀茂御園橋」からすぐ(御園橋)
アクセス:地下鉄烏丸線「北山」駅から徒歩7分(北山橋)
アクセス:地下鉄烏丸線「北大路」駅から徒歩5分(北大路橋)
3.【嵐山】亀山地区展望台(嵐山公園内)
次は、京都の観光地のなかでも屈指の人気を誇る嵐山のスポットです。嵐山といえば、渡月橋や世界遺産の天龍寺など、有名な桜スポットがたくさん! そんな大人気の嵐山エリアにある穴場スポット「亀山地区展望台」では、どんな桜を見ることがきるのでしょうか。
Q.亀山公園の展望台からはどんな景色が見られるのですか?
《中田さん》 嵐山公園の亀山地区が「亀山公園」とよばれているのですが、人気観光地の嵐山でも、亀山公園は観光客が少ない穴場スポット。展望台からは保津川と山々の大パノラマを楽しめるのですが、春には気品のある山桜が山肌の木々の緑に交じって、美しい模様を描きます。
また、目を凝らすと千光寺の大悲閣が山肌の岩にへばりつくように立っているのが見えますよ。保津川下りの船やトロッコ列車などが点景となって、雄大な景色を堪能することができます。
Q.アクセスがちょっと難しそうで心配です…!
《中田さん》 渡月橋から川沿いの左岸(北岸)に沿って上流に向かうと、亀山公園の入り口があります。もしくは、竹林の道を進んだ大河内山荘のそばにも入り口があるので、そちらからでも足を伸ばすことができます。公園内は整備もされているので大丈夫ですよ。
亀山地区展望台(嵐山公園内)
住所:京都市右京区嵯峨亀ノ尾町
アクセス:嵐電嵐山本線「嵐山」駅から徒歩30分
電話:075-701-0124(京都府京都土木事務所)※土日祝を除く8:30~17:15
4.【山科】大石神社
4つ目の穴場スポットは、山科エリアにある「大石神社」。「大石」という神社の名前でピンと来た人もいるかもしれませんが、忠臣蔵の赤穂浪士・大石内蔵助をお祀りしている神社なのです。歴史好きにはたまらない大石神社、どんな桜を見ることができるのでしょうか。
Q. 桜の見どころを教えてください。
《中田さん》 こちらは忠臣蔵の大石内蔵助を祭神とする神社ですが、桜にも「大石桜」という名前が付けられています。この大石桜は早咲きの枝垂れ桜なのですが、鳥居と奉納提燈にしなだれるようなボリュームで、とても見応えがあります。
例年、満開のころにはライトアップも行われるのですが、枝垂れ桜が夜空に浮かびあがる様子はとても幻想的ですよ。
Q.大石神社はなにかご利益があるのでしょうか?
《中田さん》 大石内蔵助は、皆さんご存じの通り、忠臣蔵で主君の仇討ちを果たした人物。その大石内蔵助(祭神)にあやかって、「大願成就」の神徳があると信仰されているそうです。桜の時期でなくても、ぜひお参りしておきたいですね。
大石神社
住所:京都市山科区西野山桜馬場町116
アクセス:京阪バス「大石神社前」から徒歩2分
電話:075-581-5645
5.【大原野】善峯寺
最後にご紹介するのは、西国三十三所第二十番札所として歴史も古い「善峯寺」です。徳川綱吉の生母・桂昌院が再興したことで知られるこちらのお寺。紅葉の名所としてガイドブックなどで紹介されていますが、春にはどんな桜や景色が待っているのでしょうか。
Q.善峯寺はどんなお寺ですか?
《中田さん》 西山の釈迦岳中腹に広がる善峯寺の境内は約3万坪。点在する堂塔をめぐる道は山上へと続いていて、季節の花々や京都市内の景色が一望できます。
参拝するときは、観音堂から上り坂の周遊路をめぐることになるので、時間に余裕をもっておきましょう。公共交通機関でアクセスする場合は、帰りのバスの時刻を確認するのも忘れないでくださいね。
Q. 大きなお寺なので、桜のスケールも大きそうですね!
《中田さん》 整備が続く「白山桜あじさい園」の景観はまさに絶景。斜面一帯に彼岸花・枝垂れ桜・山桜が咲き誇ります。一方、樹齢約300年の桂昌院お手植えの枝垂れ桜は、華麗にして荘厳。趣は異なりますが、どちらも見応えがありますよ。
善峯寺
住所:京都市西京区大原野小塩町1372
アクセス:阪急バス「善峯寺」から徒歩10分
電話:075-331-0020
今回は、京都の写真家・中田昭さんに、京都の穴場桜スポットを教えていただきました。これまであまり桜のイメージがなかった寺社や、市内中心部からひと足伸ばした郊外、人気観光地だけどあまり知られていない絶景スポットなど、どこも密を避けて桜を楽しむことができそうです。
最近はSNSなどの効果で、すてきなスポットはあっという間に話題になってしまうので、出かけるなら今のうちがおすすめ!注目されてしまう前に、ぜひのんびり桜を楽しみたいですね。
取材・編集:JTBパブリッシング
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取材をした人:中田昭(なかたあきら)
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写真家。「京文化」をテーマに、京都の風景や庭園、祭りなどを撮影し続ける。『・京・瞬・歓・』(京都新聞出版センター)をはじめ、著書も数多く出版。JR東海「そうだ 京都、行こう。」のキャンペーンポスターの写真なども担当した。1951年、京都市生まれ。
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この記事を書いた人:るるぶ編集部
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全国各地の「見る」「食べる」「遊ぶ」を徹底的にガイドした旅行情報誌『るるぶ』の編集部です。神社仏閣やグルメ、おみやげ、話題のニュースポットなど、京都のお出かけにかかせない情報を幅広く網羅。旅行者はもちろん、地元の方にも役立つ情報を日々チェック!