歌舞伎と京都・南座 ~師走の風物詩・顔見世は初心者にもおすすめ!~

歌舞伎は京都で始まった!出雲阿国の登場

日本を代表する伝統芸能のひとつ「歌舞伎(かぶき)」。江戸初期の女性芸能者である出雲阿国(いずものおくに)が京都で「かぶき踊」を披露して人気を集めたのがはじまりです。その場所は四条河原、五条河原とも、北野神社(北野天満宮)ともいわれています。その後さまざまな変遷があり、現在は男性のみが演じるようになりました。

400年もの歴史をもつ歌舞伎は江戸・京都・大阪の3大都市を中心に栄えてきました。それぞれの土地柄や観客の好みの違いから、江戸は見た目が派手で様式が美しい「荒事(あらごと)芸」、京都・大阪などの上方(かみがた)では人間ドラマを中心にリアルな演技を魅せる「和事(わごと)芸」が演技の基本となり東西で異なる芸風が育ちました。今ではほとんどの歌舞伎俳優が東京を拠点とし、公演の多くは東京で行われるようになりましたが、京都は南座や出雲阿国像などかつての芝居町としての名残が今もあります。

出雲阿国像

南座とは?

京都の四条大橋東詰にある「南座(みなみざ)」は江戸時代から続く日本最古の歴史をもつ劇場です。江戸前期の四条河原周辺には幕府が公認する常設の芝居小屋が7軒ありましたが、同じ場所に現存するのは南座だけ。四条通りの南側に位置することから南座と呼ばれており、向かいには北座という芝居小屋もありました。

現在の桃山時代風のデザインの建物は昭和4年(1929)に建てられたもので国の登録有形文化財です。今では12月の「顔見世(かおみせ)興行」含む年数回の歌舞伎公演を行うほか、松竹新喜劇やレビュー、現代劇、時代物のお芝居などさまざまな演劇を行う場となっています。

画像提供:松竹 令和四年「吉例顔見世興行」より

師走の「顔見世」

南座では毎年「吉例顔見世興行 」が行われます。通称「顔見世(かおみせ)」と呼ばれ、京都の12月の風物詩となっています。江戸時代は1年契約で劇場と俳優が雇用契約を結んでいたので、新メンバーのお披露目すなわち「顔見世」でしたが、今では歌舞伎界の人気スターが続々と出演する華やかな興行になりました。ドラマや映画でも活躍する歌舞伎俳優たちも出演する舞台なので、歌舞伎を初めて見る方も楽しめるのではないでしょうか?

南座で歌舞伎を観てみよう

画像提供:松竹

1.チケットをとる

南座で歌舞伎を観るためには、まずインターネットか電話、または劇場でチケットを取ることが必要です。

チケットWeb松竹
チケットホン松竹

座席は特別席、1等席、2等席、3等席の四種類が選べます。たとえば令和5年(2023)の顔見世の座席はこのようになっています。

顔見世 客席等級区分

客席等級によって舞台の見え具合が異なります。3等席などは舞台から離れているので、役者の表情や衣裳をよく見たい方はオペラグラスなどを持っていくと安心です。また、荷物は少なめにまとめるとよいでしょう。

2023年吉例顔見世興行公演情報
2023年12月1日(金)~24日(日)

※2023年は11月9日(木)チケット発売開始

2.イヤホンガイドを借りる

会場では入口でイヤホンガイドを借りることができます。料金は800円(税込 ※202212月現在)。舞台の進行にあわせて解説してくれるので、基礎知識がなくても充分に楽しめてオススメです。解説がなくて「華やかな衣裳や踊りだったけど、どんなストーリーだったか分からなかった」となるのは勿体ないですよね。

また、番附(東京では筋書と呼びます)というパンフレットを買って、作品の解説や物語のあらすじを知るともっと作品を理解できます。

3.大向う

役者が花道から出てきたときや、芝居のヤマ場などに客席から「成駒家っ」「三代目」などの掛け声がかかることがあります(コロナ禍のため、現在南座では禁止)。この掛け声をかける人を「大向う(おおむこう)」と呼びます。もともと大向うとは劇場の最後列や立ち見場所という意味。声は誰がかけても構わないのですが、掛け声やタイミングには決まりがあるのでとても難しいものです。演目によってはこの掛け声が芝居の一部を構成します。

歌舞伎を楽しむために

歌舞伎はハードルが高そうに思えますが、一度行ってしまえば怖くありません。服もふだん着でOK!もちろんおしゃれをしても楽しいですよ。手始めに今年の顔見世から歌舞伎入門してみるのはいかがでしょうか?

歌舞伎が初めての方はこちらもご参考にしてください。歌舞伎美人 初めての方へ



記事を書いた人:Kyoto Love.Kyoto

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