【京都観光のいま】「地域連携」から生まれる新しいタクシーのかたち~アオイ自動車~

京都洛北の地を拠点に60年にわたってタクシーの運行を担ってきたアオイ自動車。

観光の足としてはもちろん、京都ガイドのプロとして、またユニバーサルサービスをはじめ、地域連携や環境・働き方・産学連携などさまざまな方面で積極的な活動を行っており、京都市が推し進める京都観光モラル推進宣言事業者でもあります。

タクシーの新しいサービスを追求するその取り組みを取材しました。

誰もが存分に京都を楽しむために、進化するタクシー

画像提供:アオイ自動車株式会社

画像提供:アオイ自動車株式会社

近年、京都のまちなかでもよく見かけるようになった背が高いワゴンタイプのタクシー。なかでも、車イスを利用している人や高齢者、小さな子ども連れなど、誰もが乗り降りしやすいユニバーサルデザイン(UD)車両導入にいち早く取り組んできたのがアオイ自動車株式会社です。

営業課長の牧野さん
画像提供:アオイ自動車株式会社

営業部課長の牧野太一さんによれば、車両後方から車イスのまま乗降できるタイプや、手すりが設置され、車内で体勢を変えやすいよう天井や足元の広いものなどがあるのだとか。ご予約やリピーターの方が多く、会社の想定した以上の需要に驚いたそうです。

次世代型のUD車両をそろえているだけでなく、ユニバーサルサービスについての研修も行われていて、乗降時の注意点や振動の少ない運転などについて各ドライバーが講習を受けています。

ドアサービス教習の様子
画像提供:アオイ自動車株式会社

「車いす用の車両でないと移動が難しいお客様もいらっしゃるので、お迎えに上がって目的地までお連れしたあと、お帰りのご相談をすることも心掛けています」というドライバーさんの言葉になるほど、と納得。細やかな配慮が誰にとっても快適な京都の旅を提供してくれています。

公共交通として、タクシー会社ができることを

労務課の熊山さん
画像提供:アオイ自動車株式会社

環境未来都市をめざす京都市にあって、環境問題にも早くから取り組み、LPガスハイブリッド車両の積極導入のほか、エコドライブの推奨と研修も行ってきました。アイドリングストップや急発進・急停止を避けるなど、燃料消費を抑えた運転に取り組んでおり、それらの研修を担当する労務課係長の熊山明憲さんによれば、「エコドライブについて一人ひとりのモチベーションが上がるように」と、ドライバー別の燃費ランキングを毎月張り出すなどの工夫も長年続けているそうです。

訪れる人に少しでも京都のまちの美しさを感じてもらおうと、洛北の八瀬叡山保勝会に参加し、25年以上にわたって八瀬駅前の清掃活動などを定期的に行っているほか、高齢者の見守り活動にも力を入れてきました。

労務課の中井さん
画像提供:アオイ自動車株式会社

公共交通として、地域に何か貢献できないかと考えた労務課の中井健人課長が地域の認知症徘徊についての模擬訓練に参加。その内容をもとにドライバーの行動指針をつくり、高齢者の送迎時に不審点はないか、道上で困っている人はないかを目配りし、気づいた点を地域包括センターにつなぐなどトラブルを未然に防ぐための仕組みづくりをしています。

花園大学・京都先端科学大学のインターンシップの様子
画像提供:アオイ自動車株式会社

また、地域貢献の一環として、地元の人材を積極的に採用しているほか、地元大学と連携してインターンシップや大学での講義なども行い、若者にタクシー業界について広く知ってもらうことに努めてきました。学生に研修へ参加してもらうなかで新たなサービスの在り方について提言してもらうなど、次代をみつめた取り組みを行っているのも同社の大きな特徴といえます。

労務課の清水さん

労務課の清水理紗子さんも地元大学から新卒採用された一人で、「若い世代も働きやすいワークライフバランスの取れた働き方の導入で、当社では若い世代の採用も増えているんですよ」とのこと。2023年には国土交通省認定「働きやすい職場認定二つ星」を取得するなど、顧客サービスだけでなく、従業員の働きやすい環境づくりなど、さまざまな改革が進められています。

名所の「実は…」が面白い! 観光のスペシャリストとして

京都市と国土交通省、タクシー業界が連携して誕生した訪日外国人優先タクシー「フォーリンフレンドリータクシー」にも参画してドライバーの育成を進め、現在、認定乗務員は、7名在職。社内では有志の部活動「観光部」があり、観光のお客様に楽しんでいただけるよう研修会や京都検定の取得、モデルコースの企画など活発に取り組んでいて、それらを会社も後押ししています。
 
本社のある洛北は名所・旧跡が多数点在しており、「市街地を見渡せる場所も多く、曼殊院などバスでは入れない名所もタクシーなら目の前までお連れできます。桜や紅葉など見ごろをリアルタイムでご案内できるのも対面サービスならではでしょうか」と取締役企画室長の仲辻真一さん。

「例えば、洛北地域には大河ドラマで有名な徳川家康が建立した圓光寺や、源義経が修行した鞍馬寺があるのは意外と知られていません。こういった名所の“実は…”という豆知識を伝えて旅をより楽しくするのもタクシーの仕事の醍醐味」と話してくれました。

移動手段としてだけでなく、観光ガイドのスペシャリストとしてタクシーをとらえ、乗務員をめざす若者も増えているいま、京都のタクシーは大きく変わろうとしています。

 

画像提供:アオイ自動車株式会社

◇優良事例集 | 京都観光行動基準(京都観光モラル) | 公益社団法人京都市観光協会

記事を書いた人:上田 ふみこ

ライター・プランナー。京都を中心に、取材・執筆、企画・編集、PRなどを手掛け、まちをかけずりまわって30年。まちかどの語り部の方々からうかがう生きた歴史を、なんとか残せないかと日々奮闘中。

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