「京の冬の旅」とは
「京の冬の旅」とは、冬の時期に文化財や伝統文化・産業などの奥深い京都の魅力を伝え、ゆっくりと観光を楽しんでいただくためのキャンペーンで、今回で57回目を迎えます。普段は拝観することができない文化財を期間限定で公開する「非公開文化財特別公開」では、なんと15件もの文化財が公開されます。より多くの文化財を効率よく拝観したいですよね。
今回は京都駅から出発し、戦国武将にゆかりの深い妙心寺で2つの塔頭寺院を拝観、世界文化遺産・仁和寺で普段は入れない庭園を回遊するコースをご案内します。
※新型コロナウイルス感染拡大の状況、社会情勢等により「京の冬の旅」が中止または内容変更となる場合があります。最新情報は公式HPをご確認ください。
今回のルート
京都駅をスタートし、妙心寺の塔頭である玉鳳院(ぎょくほういん)と「京の冬の旅」初公開となる壽聖院(じゅしょういん)を巡って、最後は仁和寺で終えるコースです。
京都駅→<JR嵯峨野線(山陰線)約15分>→JR花園駅→<徒歩 約5分>→妙心寺 玉鳳院→妙心寺 壽聖院→<徒歩 約15分 または 市バスや嵐電(京福電鉄) 約10分>→仁和寺→<お茶(境内)>
京都駅から妙心寺へ
京都駅から妙心寺へ向かうにはJR嵯峨野線(山陰線)に乗ります。嵯峨野線が発着する30番台のホームは京都駅の中でもかなり端の方にあるので、余裕をもって乗り換えの計画を立てましょう。
関連記事:京都駅からスムーズに目的地へGO!京都駅構内で迷わない6つのコツ - 京都観光Naviぷらす
JR花園駅で下車したら、5分ほど歩けば妙心寺です。
乗車時間は約15分、運賃は200円(大人)です。
竜や麒麟の迫力の襖絵!戦国武将ゆかりの玉鳳院
妙心寺は花園法皇が離宮を禅寺に改め、無相大師(関山慧玄)を開山に迎えたことを始まりとする京都最大の禅寺です。山内最古の塔頭寺院が玉鳳院(ぎょくほういん)。明暦2年(1656)に建てられた方丈は檜皮葺(ひわだぶき)屋根の寝殿風の建物で、格式高い雰囲気が漂います。
内部は部屋ごとに異なる画題の襖絵(ふすまえ)が飾られており、迫力のある「竜図」や躍動感のある「麒麟(きりん)図」は狩野永真(本名:安信、狩野探幽の弟)の筆と伝わっています。墨の濃淡を効果的に使い表現豊かに描かれており、廊下からの見学でも見応え十分!方丈の奥には花園法皇の木像が安置されています。普段は奥まった場所に祀られている「東照大権現(徳川家康)」の位牌も、今冬は間近で見られます。
開山堂「微笑庵(みしょうあん)」は室町時代中期の見事な唐様建築です。妙心寺最古の建物で、山内で最も神聖な場所の一つとされています。お堂の前に据えられた珍しい形の「妙心寺型石灯篭」など見どころもたくさん!境内には武田信玄と息子の勝頼の供養塔、織田信長と息子の信忠の供養塔が並んでいます。豊臣秀吉の息子・鶴松(棄丸)の御霊屋「祥雲院殿」も建っており、多くの戦国武将とのゆかりが感じられる寺院です。
所在地:京都市右京区花園妙心寺町60
公開期間:2023年1月7日(土)~3月19日(日)
公開時間: 10:00~16:30(16:00受付終了)
※1月11日(水)、2月11日(土・祝)、3月11日(土)は14:30(14:00受付終了)までの公開です。
※2月7日(火)は12:00からの公開です。
料金:大人(中学生以上)800円 小学生 400円
※期間中に方丈の屋根の修復工事を行っておりますのでご了承ください。
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 妙心寺 玉鳳院|【京都市公式】京都観光Navi
石田三成ファン必見!「京の冬の旅」初公開の壽聖院
妙心寺の境内を、玉鳳院から5分ほど歩くと壽聖院(じゅしょういん)があります。妙心寺の塔頭寺院で、慶長4年(1599)に石田三成が父の菩提寺として創建したものです。創建当時は土塀を巡らせた広大な敷地に金箔瓦を載せた壮麗な建物でしたが、関ヶ原の戦いで三成が徳川家康に敗れた後に解体され、敷地も4分の1に縮小しました。かつての壽聖院の門は「妙心寺北門」として現存しています。
三成の肖像画(模本)や自筆の書状、三成の長男である重家(しげいえ)が石田家について記した「霊牌日鑑」など石田家ゆかりの寺宝の展示があり、一族の供養塔にもお参りできます。重家は出家して徳川家康に助命を嘆願し、後に壽聖院の住職になり寺の再建をしたといわれています。
本堂前には桃山時代を代表する絵師の狩野永徳が設計したという庭園があります。三成の指示により豊臣秀吉の馬印「瓢箪(ひょうたん)」をモチーフにしたと伝わる瓢箪池を中心としたものです。主君への忠義を大事にした三成の人となりが偲ばれますね。
2011年に開始した、若い芸術家が寺に住み込んで水墨画を描く「退蔵院方丈襖絵プロジェクト」で、村林由貴氏が描いた襖絵を壽聖院の本堂と書院でも観ることができます。圧巻の作品を是非ご覧ください!
所在地:京都市右京区花園妙心寺町44
公開期間:2023年1月7日(土)~3月19日(日)
公開時間: 10:00~16:30(16:00受付終了)
※毎週木曜は13:30(13:00受付終了)までの公開です。
料金:大人(中学生以上)800円 小学生 400円
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 妙心寺 壽聖院|【京都市公式】京都観光Navi
徒歩で散策しながら、もしくは市バスや嵐電で仁和寺へ
妙心寺から仁和寺は意外と近く、15分ほど歩けば着く距離です。妙心寺北門から出て西に向かい、斜めの道(府道101号)を進みます。途中の嵐電の踏切も越えて進むと、仁和寺前交差点に辿り着きます。西に曲がると仁和寺の仁王門が見えてきます。足が疲れた方は、嵐電やバスをご利用くださいね。
嵐電の場合
妙心寺北門から徒歩5分の「妙心寺」駅で乗車し、「御室仁和寺」駅で下車してください。約5分歩けば仁和寺に到着します。乗車時間は約1分、金額は220円(大人)です。
市バスの場合
妙心寺北門から右に曲がって少し歩くと、「妙心寺北門前」バス停があります。市バス26系統か10系統の宇多野・山越行きに乗車し、「御室仁和寺」バス停で下車してください。乗車時間は約4分、金額は230円(大人)です。
この冬だけ!歩ける世界遺産の日本庭園
仁和4年(888)に創建された仁和寺(にんなじ)は真言宗御室派の総本山で、世界文化遺産に登録されています。明治維新まで1,000年にわたり代々皇室から住職を迎えていた門跡(もんぜき)寺院で、境内には御所から移築された建物も多くみられます。
大正3年に再建された宸殿(しんでん)は御所の紫宸殿にならった檜皮葺(ひわだぶき)の建物で、内部は四季の花鳥を描いた原在泉(はらざいせん)の豪華絢爛な襖絵が飾られています。
「京の冬の旅」期間中だけ、通常は御殿内からしか観ることができない国名勝指定「仁和寺御所庭園」に下りて庭の中を回遊できます。造園家として名高い7代目小川治兵衛が整えたといわれる北庭では、石橋をわたった滝近くから御殿建築群を眺めるのがおすすめ。白砂に左近の桜と右近の橘が植えられた南庭では、かつて皇族のみが通った門を入るルートで拝観できます。めったにない機会にどきどきしますね!
所在地:京都市右京区御室大内33
公開期間:2023年1月7日(土)~3月19日(日)
公開時間:1・2月 9:00~16:30(16:00受付終了) 3月 9:00~17:00(16:30受付終了)
料金:大人(大学生以上)1,000円 高校生以下 無料(通常公開部分を含む)
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 仁和寺 御殿・庭園|【京都市公式】京都観光Navi
御室会館でほっと一息
「京の冬の旅」では、非公開文化財の中からお好きな3カ所を拝観してスタンプをもらうと、指定の場所でお茶とお菓子などの特典が受けられる「ちょっと一服」というお得なスタンプラリーが開催されます。
今回は仁和寺境内にある「御室会館 お食事処『梵』」にお伺いしました。特典では、紅茶とコーヒー(どちらもホット・アイスが選べます)から1種類を選ぶことができるので、ホットコーヒーをいただきます。
仁和寺ゆかりの窯「仁秀」の味わい深いコーヒーカップは手にしっくりと馴染みます。喫茶だけでなく精進御膳やうどんなどのお食事もあるので腹ごしらえにもおすすめ。スイーツメニューでは豆乳に生麩や生ゆばをくぐらせて頂く「御室豆乳ぜんざい」が見た目も可愛く、ほっこりと温まれます。他には京の和菓子セット(抹茶付)などもあります。
店舗情報
店舗名: 御室会館 お食事処「梵」
場所: 仁和寺境内
営業時間:喫茶 10:30~16:00、食事 11:00~14:00
定休日:月曜日
公式HP:お食事・和食処「梵」 – 総本山 仁和寺 宿坊 御室会館
※お支払いは現金のみになりますのでご了承ください。
バスで京都駅へ
仁和寺から京都駅へは、バス停「御室仁和寺」から市バス26系統や、JRバス高雄京北線の京都駅行に乗ると、バス1本で京都駅前に到着できます。
所要時間は約30~45分、運賃は230円(大人)です。
嵐電(京福電鉄)の御室仁和寺駅から嵐山方面や四条大宮へ出ることもできます。
趣の異なる文化を感じて
今回のルートでは、妙心寺・仁和寺を巡り、貴重な非公開文化財を鑑賞しました。玉鳳院や壽聖院には、それぞれ戦国武将とのゆかりの物語がありました。門跡寺院であった仁和寺では雅な文化財が伝えられ、御所から移築された建物や美しい庭園を回遊しました。近距離にありながら、それぞれ見応えのある、趣の異なる文化財を拝観できるコースです。
仁和寺からは龍安寺や金閣寺に通じる「きぬかけの路(みち)」を散策するのも楽しく、嵐電で嵐山にも出ることができます。「京の冬の旅」をきっかけにぜひ冬の京都を楽しんでくださいね。
-
記事を書いた人:Kyoto Love.Kyoto
-
京都の街、そして京都にかかわる人たちの役に立ちたい。そんな想いを原点に、人と人、人と地域との交流のなかで見つけた物語をまちかどの語り部たちが発信しています。智恵の循環が紡ぎ出す、京都人でもよく知らない京都、そして深遠なる京都の魅力を伝えていきます。
Kyoto love Kyoto.