京都駅を降りたらすぐ! 新たな憩いのスポット「お東さん広場」の魅力と楽しみ方

京都駅から北へ徒歩約5分のところにある東本願寺は浄土真宗大谷派の大本山。宗祖・親鸞聖人の廟堂を起源にもつ名刹です。正式には「真宗本廟」ですが通称の「東本願寺」が有名で、中には親しみを込めて「お東さん」と呼ぶ人もいます。

南北およそ400m、東西約200mの広大な境内には親鸞聖人の木像が安置されている世界最大級の木造建築「御影堂(ごえいどう)」、ご本尊を安置する「阿弥陀堂(あみだどう)」などがあり、そのスケールの大きさは壮観。特に今年は親鸞聖人生誕850年、立教開宗800年という記念の年で、現在、慶讃法要(きょうさんほうよう)が営まれていることでも話題です。

御影堂門と京都タワーの共演

東本願寺門前の烏丸通は、なぜ曲がっている?

参詣者を穏やかに迎え入れるのがメインゲート「御影堂門(ごえいどうもん)」です。京都駅エリアのランドマークのような存在ですが、門前の車道をよく見ると東本願寺を避けるように緩やかにカーブしているのがわかります。
碁盤の目に例えられるほど一直線の道が多い京都市街ですが、なぜ東本願寺門前の烏丸通は弓なりに曲がっているのでしょう。

それは今から遡ること約110年前。
近代化が進められていた明治末期。東本願寺門前の烏丸通が拡幅され、京都市電(路面電車)が走ることになりました。ところがそれを知った東本願寺が「全国から集まる門徒が市電の軌道に出ると危険」と、京都市に迂回を求めたそうです。長年再建していた伽藍完成と市電烏丸線開通のタイミングが重なったのも一因と言われています。

1974年(昭和49年)に市電烏丸線は廃止となりましたが、道は名残をとどめました。その形はまるでアルファベットの“D”。烏丸通は東本願寺の門前で二手に分かれ、再び1本道となるという、市内でも珍しい弓なりの道になったのです。

整備後

憩う、賑わう、歴史を感じる! ありそうでなかった広場が誕生

“D”の中心部分は道と道に挟まれた、いわゆる交通島という環境が立ち入りにくさを生み、市民などが日常的に利用する姿はあまり見られませんでした。

そこで門前と交通島を一体化させた緑の空間をつくろうという計画が浮上。京都市と東本願寺の協働で2021年(令和3年)より整備が始まり、2023年(令和5年)3月に「お東さん広場」として生まれ変わりました。

ダブルダッチイベントで賑わう「お東さん広場」

広場の総面積は9,800㎡。蓮華型の噴水を中心に桜などの季節を彩る花木が植えられ、芝生も整えられました。車椅子の方も利用できるトイレや、手洗い場なども設けられ、何より東本願寺・御影堂門のお膝元。思わずベンチに座って一息つきたくなるような開放感と居心地の良さです。

車道だったところは石畳風に舗装され、イベントや災害時でもフル活用できるよう、さまざまな工夫が盛り込まれました。

蓮華型の噴水と御影堂門

ちなみに、中央にある蓮華型の噴水は、関西建築界の父とも称される建築家・武田五一設計、蓮華のデザインは京都画壇を代表する日本画家・竹内栖鳳によるもの。何げなく佇む噴水の由縁がすごすぎます。一見の価値ありです。

可能性は無限! 新たな価値が交差する「お東さん広場」

そんな東本願寺門前を盛り上げようと、東本願寺をはじめ、造園業やマスコミ業、ホテル・観光業など、6つの事業者がタッグを組み、門前の利用促進、気運を高めることを目的とした「おひがしさん門前未来プロジェクト」が進められています。

これまで地域の方を招いたトークイベントやコンサート、門前フォトコンテストなどを実施。最近ではオリジナルクラフトビールを製造するなど、東本願寺門前を知る、訪れる、交流するきっかけづくりに取り組んでいます。

尾形浩一朗さん(一般社団法人公共事業研究開発 代表理事)

同プロジェクトの中心を担う尾形浩一朗さんはお東さん広場の魅力について、

「京都駅から徒歩約5分という都会にありながら、東本願寺や京都タワーといった京都らしさも感じられる場所です。子連れ、ペット連れでも訪れやすいですし、ジョギングや読書も気持ちがいいと思います。パソコンがあれば仕事もできますよ」と語ります。

観光で訪れた方なら新幹線で到着後、京都駅ビルでお弁当や飲み物を買って、「お東さん広場」で東本願寺を眺めながら一休みというのも新たな楽しみ方かもしれません。

東本願寺エリアのおすすめ朝観光スポットはこちらの記事でも紹介しています。

京都市ビジターズホストがおススメする朝観光 京都駅周辺エリア 「おごそかな光の中でお堂を拝観・門前町界隈を朝さんぽ」|【京都市公式】京都観光Navi

おすすめのイベント情報

多様な人や文化が日常的に出入りし、新しい価値の創造につなげるために、同プロジェクトだけでなく地域の商店街などにもその動きが広がり始めています。中でも東本願寺前商店会が主催する花灯路は、このエリアでは初開催。東本願寺前から渉成園まで東西約150m、お東さん広場の南北300mを、温かな行灯の光が彩ります。

その他にも東本願寺門前をたっぷり楽しめるイベントが目白押しです。ぜひこの機会に足をお運びください。

東本願寺前花灯路

東本願寺門前と飛び地境内「渉成園」までの一帯を200基の行灯が照らします。
2023429日(土)まで

東本願寺前花灯路|【京都市公式】京都観光Navi

おひがしさん門前フェスタEN

お土産品や雑貨の販売やキッチンカーの出店など。週末は子ども向けイベントも行われます。
2023429日(土)まで

おひがしさん門前フェスタEN(エン) | 東本願寺慶讃法要特別Ver

門前マルシェのイメージ

ツリークライミングの様子

渉成園ライトアップ

東本願寺の飛地境内「渉成園(枳殻邸)」で、夜間ライトアップが行われます。
2023429日(土)まで

渉成園ライトアップのご案内|宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要特設サイト

ライトアップのポスター

「お東さん広場」のWebサイトでもイベントなどの情報を発信しています。こちらもご覧ください。

東本願寺前市民緑地 お東さん広場 - 多彩なシーンに活用できる空間・交流の場として、 東本願寺前に誕生した、京都市初の「市民緑地」

記事を書いた人:五島 望

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東京都生まれ、京都在住のライター・企画編集者。
京都精華大学人文学部卒業後、東京の出版社に漫画編集者等で勤務。29歳で再び京都へ戻り、編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。紙媒体、Web、アプリ、SNS運用など幅広く手掛ける。

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