【京都一周トレイル®公式】入門編! トレイルランニングの始め方

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京都の豊かな自然を満喫できる「京都一周トレイル🄬」。(東山・北山東部・北山西部・西山・京北の5つのコースの紹介についての記事はコチラ)自然や文化が一緒に楽しめる、京都ならではのトレイルコースは、地元の人だけでなく観光客でも楽しむ方が増えています。

近年のアウトドア人気もあって、注目を集める「トレイルランニング」。いざ挑戦しようと思っても、「一体何から始めればいいの?」と、分からないことがたくさん出てきますよね。

そこで今回は、京都市在住のトレイルランナープロフェッショナルコーチである木村克己さん(きむかつコーチ)に、トレイルランニングの始め方を教えていただきました。

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今回、レクチャーをお願いした「きむかつコーチ」こと木村克己さんは、トレイルランナープロフェッショナルコーチとして、トレイルランニングやトライアスロンなどのコーチングをしながら、鍼灸師としてもスポーツ選手たちの身体のケアを行っています。

さらに、世界的なトレイルレースにも多数参加されているという、まさにトレイルランニングのスペシャリスト。そんなきむかつコーチに、トレイルランニングのいろはを教えていただきます。 

1. 話題のトレイルランってどんなもの?

 Q. まずは「トレイルランニング」とはどんなものか教えてください。

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《きむかつコーチ》
「トレイルランニング」は、山の登山道やハイキングコースになっているところ、そうじゃないところも含めて、人が歩けるぐらいのさまざまな道を走るアウトドアスポーツのことです。「トレラン」「トレイルラン」と略されることが多いですね。

以前は「山岳マラソン」と呼ばれていて、一般的にはランニングスタイルで山頂を目指して走るようなイメージでしたが、名前の変化とともに、「自由度をもって長く楽しんで走るスタイル」に変わったと思います。

Q. ジョギングやマラソンとは何が違うのでしょうか? その魅力を教えてください。
《きむかつコーチ》
トレイルランの魅力は五感をフル活用できることです。普通に平坦なところを走るとき、人は走るスピードや時間だけを意識しがちですよね。でも山に入ると、美しい景色に感動したりみずみずしい新緑の香りを感じたり、自然のなかにいるんだという感覚が味わえます。

普段よりも足元に気を付けたり、体中の筋肉の使い方を意識したり、スピードが出れば出るほど集中力が必要になって、それと同時に五感もどんどん高まっていきます。

そういったことに集中していると、あっという間に時間が過ぎたり、距離が伸びていたり、日常の時間や位置の感覚とまったく違う感じになる瞬間があるんです。非現実的な空間に自分が一体化しているような感覚というか、それにはまる方はとても多いですね。

そして、山では歩く人が「弱者」、走る人の方が「強者」になってしまいます。リスクを負わせてしまう側になる可能性があることを考えて、トレイルランのときにはそういったことを配慮した声掛けや、先に道を譲るスタイルを持つように心がけています。

危険度が高いから配慮するし、山に関わるから自然を大切にする。そういった意識が、だんだん家族や仕事など、自分のまわりの人や環境への意識につながる氣がします。トレイルランを通して、そういった意識が高まることも魅力のひとつだと思いますし、そういった意識を持った人が増えていくと嬉しいですね。

2. 体力づくりに服装の準備…トレイルランは何から始める? 

Q. 初心者の方が始めるにはどのぐらい体力が必要でしょうか? 体づくりの面でやるべきことを教えてください。
《きむかつコーチ》
人の身体は、自分の身体の重みと構造を利用するだけで、無理なく長く走ることができるもの。その感覚が身に付けば、自然と筋力がしっかりしてきます。ゆっくりでも30分ジョギングできるようになると、2~3時間歩いたり走ったりしながらのトレイルランを楽しめる身体のキャパシティが拡がってきます。

Q. どんな服装で始めればいいですか?
《きむかつコーチ》
服装のスタイルでいうと、走るスタイルと登山のスタイルと半々ぐらいがいいですね。ゆっくり進む初心者の方は、ダニやヒル、虫に刺されたり嚙まれたりするリスクもあるので、長袖、長ズボンなど上下ともにあまり露出しすぎないスタイルが望ましいと思います。

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下は薄めの長ズボン、上はランニング用のシャツでOKですが、アームスリーブがあるとさらにいいですね。寒いときに伸ばしたり、暑いときに水で冷やしたり、山のような変化がある場所ではこういうアイテムが便利です。また、脚をよく使うトレイルランは、レッグカバータイプのコンプレッションウェアもおすすめ。疲れにくくむくみにくいので、私は普段から使っていますよ。

Q. 服装以外に必要なものや、アイテムの選び方を教えてください。
《きむかつコーチ》
まず用意したいのはシューズとザック。ザックの中身も大切ですね。ひとつひとつ具体的に選び方やポイントをみていきましょう。

【シューズ】
トレラン用のシューズを選びましょう。トレッキングシューズでは走りにくいですよ。トレランシューズは裏のグリップがしっかりしているのも特徴。すべると動作が悪くなって疲れやすいんです。

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シューズは厚底タイプや薄底に近いタイプなどさまざまあります。薄い方(左)が路面の状態を感じやすいので、はだしの感覚が得られると思います。ただ、登りのときにはある程度厚みがある方(右)がふくらはぎが疲れず、長距離を走ってもソフトな感じがしますね。

そしてシューズ選びで最も大切なのは、いかに自分の足に合ったものを選ぶかどうか。必ず店で実物を見て、履いて、確認したほうがいいです。

【シューズの履き方】

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シューズ選びと同じぐらい大切なのが、正しい履き方。まず、90度ぐらいの角度でヒールカップにかかとをしっかり合わせて、先端の紐から上に向かって、順番にゆるみを締めていきます。足は地面につくとアーチが落ちた状態になるので、ニュートラルな形に合わせて履くのがポイントです。

【ソックス】
ソックスは履き心地が一番ですが、最近はサポートが付いた機能的なものもおすすめ。大切なのはシューズ(インソール)との相性。シューズの中でのちょっとした滑りがトレランでは影響するので、そのあたりに気を付けて選びましょう。

【ザック】

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チェストで締めるだけで体に固定されるスタイルのものが大半。どのぐらいの山に登るか、どれぐらいの時間になるかによって、サイズも変わります。初心者であれば10~15リットル程度のサイズが便利。絞ったら小さくなるものも多いので、ちょっと大きめが無難ですね。

【ザックの中身(持ち物)】
最低限入れておきたいのは、ファーストエイド、上着、水、スマホ、地図、お金の6点。ファーストエイドはバンドエイドや消毒液など、怪我をしたときに何が必要か考えて用意するといいですね。

水分は思っている以上の倍の量を用意しましょう。何かあったときに水分はとても重要になってきます。2~3時間ぐらいのコースであれば、冬なら500mlあればいいので1リットル、夏場は1.5~2リットルあると安心ですね。

【テーピング】

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より快適で安全なトレイルランを楽しむために、足首やひざを守るためのテーピングを使うのもおすすめ。最近は簡単に貼れるタイプのものも多いですし、貼ると足の楽さも全然違います。少し違和感があるときに貼っておけば痛さの出方も違いますし、怪我の予防にもなります。

【帽子・サンバイザー】
夏場はフルキャップを被ってください。私も春先まではサンバイザーを使いますが、ハチ対策で5月~11月ぐらいまではキャップに変えています。ハチは黒いところを狙ってくるので本当に危ないですよ。夏は黒以外のキャップを被ってください

3. 京都一周トレイル🄬でトレイルランを始めるには?  

Q. 初心者がトレイルランに挑戦する際、コース選びで大切なことは?
《きむかつコーチ》
初心者の方が具体的にコースを選ぶときは、この6つの項目をチェックしておくとよいと思います。
① 500m程度までの低山
② 距離が10㎞以内
③ 最初と最後にお手洗いがある
④ 人が少ないルートを避ける
⑤ 街に近い
⑥ 交通の便が良い

人が多いルートで走ると迷惑になることが多いのですが、最初はゆっくりと走ることが多いので、人が多いルートでも大丈夫。何か困ったら助けてもらえるというメリットもあります。とはいえ、初心者の方でも歩いている人にはきちんと配慮してくださいね。⑤や⑥は、体調不良になっても早く戻れるので安心です。意外と重要なお手洗いもチェックしておきたいですね。

Q. 京都一周トレイル🄬でおすすめのコースは?
《きむかつコーチ》
京都一周トレイル🄬はどのコースもトレイルランが楽しめます。京都一周トレイル🄬では、公式ガイドマップの売り上げがコースの維持補修費に充てられているので、ぜひ利用してくださいね。

①東山コースの出町柳~大文字山~蹴上のルート
先ほどの6ポイントをすべて満たし、ゆるい下りは走るのにもぴったりです。大文字山は最近人が増えているので、そういう意味でも初心者にはおすすめですね。

②東山コースの蹴上~伏見稲荷大社のルート
将軍塚から清水山、稲荷山と、小さい山が続くルートで、街も近くてアクセスもいい。将軍塚にはお手洗いもあるので安心です。

③西山コースの嵐山~高雄のルート
山は嵐山から清滝川に抜ける六丁峠だけで、あとは川沿いのトレイルが続きます。難しすぎないルートですし、川沿いならではのおもしろ味が味わえますよ。

4. いざ始めるときに注意しておきたいこと  

Q. 初心者だからこそ気を付けておきたいことはありますか?
 《きむかつコーチ》
やはり一人よりも同行者がいたほうがいいですね。何回目かで一人で行くとしても、人の多いコースを選ぶのが安心です。

そして大切なのは、絶対に無理をしないこと。常に余裕をもったペース感を保ってください。感覚としては、「いつでもしゃべれるか」どうかを目安にするといいですね。

初心者の場合、登りはしんどいので走らない、下りもゆるくなったら軽く走る、というぐらいで充分。下りでもむずしいところはちょっと早歩き、スムーズな動きで体を慣らしていくと上手になります。実はトレイルランって、意外と走らないんですよ(笑)。

Q. 山の中なので危険はつきもの。アクシデントに遭遇したらどうしたらいいですか?
《きむかつコーチ》
怪我などのアクシデントがあったときは、戻ったほうが早いのか、進んだ方が早いのか考えて行動すること。今はスマホがあれば自分の位置がGPSで分かるので、救助を依頼する場合も、自分がどこにいるか把握しておくとスムーズです。

そして、山の中にはトレイルの標識以外にも救助の番号があるので、そういったものを見かけたらスマホで撮影するなど、小まめに確認しておくことも大切です。スマホの電池を長持ちさせるために、機内モードにしておくのもおすすめですよ。

5. トレイルランならではのマナーについて

Q. 初心者が意外と知らないマナーがあれば教えてください。

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《きむかつコーチ》
当たり前のようですが、正しいコースを歩く(走る)ということ。山道だとどこを通ってもいいと思われがちですが、きちんとコースを走ることはとても大事なんです。

トレイルのコースというのは、降雨時の水の流れを考慮して造られています。ほかの場所を歩いて違うコースを造ってしまうと、大雨が降ったときに地面が崩れやすくなってしまう可能性もあるのです。

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マナーというと、最近はマスクも気になりますよね。私も着脱しやすいマスク(カバー)を用意していますが、山の中は換気の問題はないですし、密になる心配も少ないと思います。すれ違う時に対面にならないようにしたり、いつもより遠くから声を掛けたり、みんなが気持ちよく楽しめるようにしたいですね。 

今回は、トレイルランナープロフェッショナルコーチの「きむかつコーチ」こと、木村克己さんに「トレイルランニング」の始め方を教えていただきました。

京都には、町を囲む山々に「京都一周トレイル🄬」が整備されています。初心者でも挑戦しやすいおすすめルートがたくさんあるので、ぜひみなさんも気軽にトレイルランニングの世界をのぞいてみてください!

取材・編集:JTBパブリッシング
協力:京都一周トレイル会

取材をした人:きむかつコーチ(木村克己)

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鍼灸師、トレイルランナープロフェッショナルコーチ、一般社団法人日本ランニングファシリテーター協会代表理事。トライアスロン選手だった20代前半、トレーニングの一環としてトレイルランを始める。怪我のリハビリをきっかけにその魅力に目覚め、現在はトレイルランやランニングを通したオリジナルのコーチングなど幅広い活動を行う。京都市在住。

この記事を書いた人:るるぶ編集部

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全国各地の「見る」「食べる」「遊ぶ」を徹底的にガイドした旅行情報誌『るるぶ』の編集部です。神社仏閣やグルメ、おみやげ、話題のニュースポットなど、京都のお出かけにかかせない情報を幅広く網羅。旅行者はもちろん、地元の方にも役立つ情報を日々チェック!

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