「京の冬の旅」とは
「京の冬の旅」とは、冬の時期に文化財や伝統文化・産業などの奥深い京都の魅力を伝え、ゆっくりと観光を楽しんでいただくためのキャンペーンで、今回で57回目を迎えます。普段は拝観することができない文化財を期間限定で公開する「非公開文化財特別公開」では、なんと15件もの文化財が公開されます。より多くの文化財を効率よく拝観したいですよね。今回は京都駅から出発し、空海ゆかりの東寺 五重塔と、「月の庭」で有名な清水寺 成就院をめぐり、知恩院 大方丈・小方丈・方丈庭園で徳川家の威信を感じるコースをご案内します。
※新型コロナウイルス感染拡大の状況、社会情勢等により「京の冬の旅」が中止または内容変更となる場合があります。最新情報は公式HPをご確認ください。
今回のルート
京都駅をスタートし、東寺と清水寺を巡って、最後は知恩院で終えるコースです。
京都駅→〈近鉄京都線 約1分〉→近鉄東寺駅→〈徒歩 約10分〉→東寺 五重塔→〈市バス 約25分 と 徒歩 15分〉→清水寺 成就院→〈徒歩 約20分〉→知恩院
京都駅から東寺へ向かうには、近鉄電車京都線に乗ると便利です。近鉄電車のホームは新幹線八条口側で、京都駅南西部の2階にあります。
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近鉄東寺駅で下車したら、10分ほど歩けば東寺です。乗車時間は約1分、運賃は160円(大人)です。
京都駅から徒歩でも約15分で行けますし、市バスで向かうことも可能で、京都駅烏丸口・八条口どちらからもバスが出ています。
今だけ内部に入れる!日本一高い国宝五重塔
真言宗総本山・東寺は、平安時代から変わらず同じ場所に位置する、世界文化遺産の大寺院。平安京の造営とともに建立され、823(弘仁14)年に嵯峨天皇によって空海に与えられました。空海は留学僧として唐へわたって密教を学び、その教えを日本に持ち帰った人物です。空海が真言宗を立教開宗してから、2023年でなんと1200年を迎えます!
五重塔(国宝)は高さ約55メートルで、現存する江戸時代以前の木造の塔としては日本一の高さ。落雷などによって4度消失しており、現在の五重塔は1644(寛永21)年に徳川家光が再建した5代目のもの。巨大な建物を何度も建て直してきた先人の努力や想いがしのばれます。
通常は非公開である五重塔の初層内部は、極彩色の文様で彩られています。五重塔の各層をつらぬく中央の柱が大日如来に見立てられ、金剛界の4仏が周りをぐるりと囲んでいます。金堂(国宝)では彫刻史上屈指の傑作と名高い薬師三尊像を、講堂(重文)では21体の仏像により密教の教えを視覚的に表した立体曼荼羅(りったいまんだら)をあわせて拝観することができます。
所在地:京都市南区九条町1番地
公開期間: 2023年1月7日(土)~3月19日(日)
公開時間:8:30~17:00(16:30受付終了)
料金:大人(大学生以上)800円 高校生 700円 小中学生 500円 ※通常公開部分を含む
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 東寺 五重塔|【京都市公式】京都観光Navi
東寺から市バスで清水寺へ
東寺から大宮通りの向いにある「東寺東門前」バス停(南行き)から市バス207系統[清水寺・祇園行き]に乗車すると、清水寺まで1本で向かうことができます。「五条坂」バス停で下車してください。
乗車時間は約25分、運賃は230円(大人)です。
※時刻表内の※印のバスは、途中の九条車庫までの運行になりますのでお気をつけください。
五条坂バス停から清水寺へ
東大路通りにある「五条坂」バス停で下車します。
「五条坂」バス停から清水寺への詳しい行き方は下記の記事をご参考にしてください。
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雪月花の三庭苑の一つ「月の庭」
成就院(じょうじゅいん)は「清水の舞台」で有名な清水寺の塔頭寺院です。創建は室町時代で、1639(寛永16)年に徳川3代将軍・家光の妹で後水尾天皇の后であった東福門院和子が再建しました。幕末に命がけで勤王活動をした月照・信海兄弟が住職を務めたことでも知られ、西郷隆盛との密談もこの場所で行われたといわれています。
「雪月花の三庭苑」のひとつに挙げられる「月の庭」が有名です。高台寺山を借景にした庭園は、室町期の相阿弥が原作をつくり、茶人・小堀遠州が補修したとも、江戸期の俳人・松永貞徳の作とも伝わります。美しく刈り込まれた樹木のなかに豊臣秀吉が寄進した「誰が袖手水鉢(たがそでちょうずばち)」や、烏帽子(えぼし)姿の貴族が会釈しているように見える「烏帽子石」などが巧みに配置されています。「月の庭」といいますが、夜空を見上げるのではなく、幽玄な月明かりに照らされた庭の美しさを楽しむように作られたお庭です。
【雪月花の三庭苑】~「花の庭」再興記念~
2022年1月、約150年ぶりに北野天満宮で「花の庭」が再興されました。この冬、妙満寺の「雪の庭」、北野天満宮の「花の庭」とあわせて「雪月花」の三庭を同時期に鑑賞できます!
所在地:京都市東山区清水1丁目
公開期間: 2023年2月1日(水)~3月19日(日)※2月22日(水)・23日(木・祝)は拝観休止
公開時間:10:00~16:30(16:00受付終了)
料金:大人(高校生以上)600円 小中学生 300円
※本堂(舞台)の拝観料(400円)は含まれておりませんのでご注意ください。
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 清水寺 成就院|【京都市公式】京都観光Navi
散策しながら知恩院へ
清水寺から知恩院は徒歩約20~30分の距離で、途中に観光名所がたくさんあります。時間に余裕があれば散策しながら向かうのもおすすめです。
お土産屋さんが多い産寧坂(三年坂)から風情のある二寧坂(二年坂)を通り、高台寺前の「ねねの道」を散策しながら円山公園に入ります。そこを抜けると右手に知恩院の巨大な三門が見えます。
お天気が悪い場合などは、五条坂バス停まで出て、市バス(202系統、206系統、86系統)に乗り、知恩院前バス停までの移動が便利です。
知恩院で洛中随一といわれる名書院を味わう
1175(承安5)年に法然上人が結んだ草庵から、知恩院の歴史は始まりました。1603(慶長8)年、徳川家康が母である於大(おだい)の方の菩提所に定めたことで知恩院の寺領が大幅に拡張され、徳川幕府の援助で諸堂が次々と造営されました。
大方丈(重文)と小方丈(重文)は1641(寛永18)年に建てられたもので、「洛中随一の名書院」といわれています。大方丈は全面に金箔を施した豪華な金碧障壁画が有名で、狩野探幽の弟である尚信などの狩野派の絵師によって描かれています。
「鶴の間」ではいきいきとした鶴の姿が見られます。将軍が謁見する際に使う「上段の間」「下段の間」には仙人の絵が描かれ、警護の侍が控えるための「武者隠し」も作られています。「菊の間」の襖絵は雀を上手に描きすぎたため生命が宿って飛び去ったといわれ、「知恩院七不思議」のひとつに数えられています。
小方丈は、華やかな大方丈とは対照的に水墨画が描かれています。周囲には玉淵によって作られた美しい方丈庭園がめぐります。庭園の奥にある権現堂では徳川家康・秀忠・家光の肖像画と徳川将軍の位牌を拝観することができます。知恩院の文化財からは、莫大な富と権力をもっていた徳川家の威光が感じられます。
所在地:京都市東山区林下町400
公開期間: 2023年1月20日(金)~3月19日(日)
公開時間:10:00~16:20(15:40受付終了)
※2/25(土)~2/27(月)・3/5(日)は12:30~受付開始
3/4(土)は12:00受付終了(12:30閉門)
料金:大人(中学生以上)800円 小学生 400円
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 知恩院 大方丈・小方丈・方丈庭園|【京都市公式】京都観光Navi
和順会館でほっと一息
「京の冬の旅」では、非公開文化財の中からお好きな3カ所を拝観してスタンプをもらうと、指定の場所でお茶とお菓子などの特典が受けられる「ちょっと一服」というお得なスタンプラリーが開催されます。
今回は知恩院の門前にある「カフェかりん」にお伺いしました。特典では、知恩院ブレンド、カフェラテ、紅茶(どちらもホット・アイスが選べます)から1種類を選ぶことができるので、知恩院ブレンドのホットをいただきます。知恩院の三門をイメージしたブレンドで、コクの強いコーヒーです。
朝早くから開いているので、モーニングで利用する方も多いとか。人気のだしまきサンドやかりんロールなどの軽食やスイーツもあります。円山公園の隣にあるので、お茶を飲んだ後に公園を散策するのもおすすめです。
店舗情報
店舗名:カフェかりん
場所: 知恩院 和順会館内
営業時間:8:30~18:30(ラストオーダー18:00)
定休日:なし
公式HP:カフェ かりん|知恩院 和順会館
バスで京都駅へ
知恩院から京都駅へは、バス停「知恩院前」から市バス206系統の京都駅行きに乗ると1本で到着できます。所要時間は約20分、運賃は230円(大人)です。
また、知恩院から徒歩5分で地下鉄東山駅があり、地下鉄を乗り継いで京都駅へ向かうこともできます。地下鉄東山駅から東西線・太秦天神川行きに乗車し、地下鉄烏丸御池駅で烏丸線・竹田行きに乗り換えて京都駅を目指してください。所要時間は約20分、運賃は260円(大人)です。
見どころ満載な「京の冬の旅」を巡って
今回は、真言宗立教開宗1200年を迎える東寺、雪月花の三庭苑のひとつ「月の庭」が見られる清水寺 成就院、そして大河ドラマで注目されている徳川家の菩提寺である知恩院を参拝しました。どの寺院も歴史的なエピソードや文化財が盛りだくさんです。また、平安時代、江戸時代初期、幕末という様々な時代に思いを馳せられ、京都の奥深さを感じられます。この旅をきっかけにまだまだ知らないスポットにも是非訪れてみてくださいね!
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記事を書いた人:Kyoto Love.Kyoto
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京都の街、そして京都にかかわる人たちの役に立ちたい。そんな想いを原点に、人と人、人と地域との交流のなかで見つけた物語をまちかどの語り部たちが発信しています。智恵の循環が紡ぎ出す、京都人でもよく知らない京都、そして深遠なる京都の魅力を伝えていきます。
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