「京の冬の旅」とは
「京の冬の旅」とは、冬の時期に文化財や伝統文化・産業などの奥深い京都の魅力を伝え、ゆっくりと観光を楽しんでいただくためのキャンペーンで、今回で57回目を迎えます。普段は拝観することができない文化財を期間限定で公開する「非公開文化財特別公開」では、なんと15件もの文化財が公開されます。より多くの文化財を効率よく拝観したいですよね。そこで京都駅から出発し、「京の冬の旅」初公開の寺院もおさえつつ、2023年大河ドラマ主人公・徳川家康や豊臣秀吉ゆかりの文化財を訪ねるコースをご案内します。
※新型コロナウイルス感染拡大の状況、社会情勢等により「京の冬の旅」が中止または内容変更となる場合があります。最新情報は公式HPをご確認ください。
今回のルート
京都駅をスタートし、東本願寺と「京の冬の旅」初公開となる上徳寺を巡って、最後は醍醐寺で終えるコースです。
京都駅→<徒歩5分>→東本願寺→<徒歩15分>→上徳寺→<京阪バス40分>→醍醐寺→<お茶(境内)>
京都駅から東本願寺へ
京都駅から東本願寺へは歩いてすぐ。京都駅中央口から外へ出ると目の前に京都タワーが見えます。その右のまっすぐ北へ続く大きい通り[烏丸(からすま)通)]にそって5分ほど進むと、左手に見える大きなお寺が東本願寺です。
近代和風建築を代表する「お東さん」
東本願寺は真宗大谷派の本山で、正式名称は「真宗本廟(しんしゅうほんびょう)」といいます。慶長7年(1602)に徳川家康から土地の寄進を受けて建立されました。今回、「京の冬の旅」で40年ぶりに公開されるのが大寝殿(おおしんでん)と白書院(しろしょいん)です。
大寝殿は境内に現存する最古の建物で、公式行事や儀式などに使用されるところです。障壁画の「風竹野雀」「歓喜」「古柳眠鷺」は日本画家・竹内栖鳳(たけうちせいほう)が手がけたものです。「動物を描けばその匂いまで描ける」という描写力で、近代日本画の発展に尽くした京都画壇を代表する人物です。
白書院は来賓の接待などを行う場所で、帳台構(ちょうだいがまえ)や違棚(ちがいだな)を設けた書院造です。牡丹を中心とした障壁画と、独創的な彫刻が美しいですね。
所在地:京都市下京区烏丸通七条上ル
公開期間:2023年1月7日(土)~3月16日(木)
※2月27日(月)・28日(火)の14時~15時は拝観休止
公開時間:1・2月 10:00~16:00(15:30受付終了) 3月 10:00~16:30(16:00受付終了)
料金:大人(中学生以上)800円 小学生 400円
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 東本願寺 大寝殿・白書院|【京都市公式】京都観光Navi
歩いて「京の冬の旅」初公開の上徳寺へ
東本願寺から歩いて15分ほどのところに上徳寺があります。烏丸通をまっすぐ北へ歩いて烏丸五条という交差点についたら時計塔が見えるので、そこから90°右へ曲がり東の方向に歩きます。富小路通で右に曲がると上徳寺の入り口が見えます。
「京の冬の旅」初公開!徳川家ゆかりの上徳寺
上徳寺は徳川家康にゆかりが深く、2代将軍・秀忠を育てた側室である阿茶局(あちゃのつぼね)が創建した寺院です。阿茶局は才知にたけていて、家康にとってなくてはならない存在の女性でした。「小牧・長久手の戦い」など家康とともに数々の戦いに随行しただけでなく、大坂冬の陣ではなんと大坂城に入って和平交渉を務めました。今回は徳川家康・秀忠、阿茶局の肖像画などの寺宝も特別に公開されます。
また「子授け祈願」「安産祈願」の信仰で有名な「世継(よつぎ)地蔵」を地蔵堂の内部に入って間近で参拝することができます。2mあるお地蔵さまは圧巻です!
貴族の邸宅から移築されたという書院造の客殿は、円山派の絵師によるものと伝わる襖絵や枯山水庭園がみどころです。
所在地:京都市下京区富小路通五条下ル本塩竈町556
公開期間:2023年1月7日(土)~3月19日(日)※2月7日(火)~9日(木)は拝観休止
公開時間:10:00~16:30(16:00受付終了)
料金:大人(中学生以上)800円 小学生 400円
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 上徳寺|【京都市公式】京都観光Navi
京阪バスで醍醐寺へワープ!
醍醐エリアは距離的には遠いですが京阪バスに乗ると、なんと乗り換えなしで行くことができます!上徳寺から徒歩約5分の京阪バス「河原町五条」バス停から86番または86B番に乗り、「醍醐寺前」バス停で降りると醍醐寺に到着します。バスは1時間に1本程度ですのでお気をつけください。
所要時間は約40分、運賃は280円です。(※2022年12月現在)
京阪グループバスナビから時刻表をお調べ頂けます。
豊臣秀吉の栄華をしのぶ三宝院
醍醐寺は貞観16年(874)弘法大師空海の弟子にあたる理源大師聖宝(しょうぼう)が開いた真言宗醍醐派の本山で世界文化遺産。彫刻・絵画など密教美術の宝庫でもあります。また平安時代から「花の醍醐」と呼ばれるほどの桜の名所です。慶長3年(1598)に行われた「醍醐の花見」では豊臣秀吉は700本の桜を植えて1300人もの女房衆を参加させ、華やかで盛大な宴を開きました。
その時に建てられたのが三宝院(さんぼういん)です。醍醐寺の歴代座主が居住する「本坊」で国宝の表書院があります。国の特別史跡・特別名勝となっている三宝院庭園は秀吉が自ら設計したもので、桃山時代の華やかな雰囲気を伝えています。庭の中心に位置する「藤戸石」は織田信長や秀吉など天下人が所持した「天下の名石」といわれています。
快慶作の優美な弥勒菩薩坐像を安置する弥勒堂(重文)の特別公開や、豊臣秀吉から座主に贈られた豪華な「金の天目茶碗と天目台」などの寺宝展示もみどころです。
所在地:京都市伏見区醍醐東大路町22
公開期間:2023年1月7日(土)~3月19日(日)
※2月4日(土)~8日(水)は弥勒堂が拝観不可のため茶室「松月亭」の特別公開となります。
またその他にも弥勒堂のみ、法要等のため30分程度拝観できない場合があります。
公開時間:1・2月 9:00~16:30(16:00受付終了) 3月9:00~17:00(16:30受付終了)
料金:大人(中学生以上)800円 小学生 無料
※別途「三宝院庭園・伽藍エリア2か所」の通常拝観料が必要です。
大人 1,000円 中高生 700円 小学生 無料
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 醍醐寺 三宝院|【京都市公式】京都観光Navi
「京の冬の旅」初公開!狩野探幽の障壁画が残る理性院
理性院(りしょういん)は醍醐寺の塔頭寺院で別格本山です。本堂内の中央の厨子には80年に一度のみ御開帳される秘仏・太元帥明王像(非公開)が祀られており、向かって右手には平安時代後期の一木造の「不動明王坐像」(重文)、左手には鎌倉時代の毘沙門天立像が安置されています。
客殿「上段の間」には江戸時代の絵師である狩野探幽(かのうたんゆう)18歳の頃の作とされる「水墨山水図」が残ります。18歳というと若く感じますが、探幽は幼少の頃より絵の才能があり、わずか13歳で祖父である「狩野永徳の再来」だと絶賛された神童で、16歳で江戸幕府御用絵師となりました。その後は大坂城障壁画や二条城障壁画などの大事業に携わりました。「水墨山水図」は、現存する数少ない探幽10代の障壁画として、その画風を知る上で貴重で価値の高いものとされています。
所在地:京都市伏見区醍醐東大路町21
公開期間:2023年1月7日(土)~3月18日(土)
※1月13日(金)~16日(月)、2月19日(日)は拝観休止
公開時間:10:00~16:30(16:00受付終了)
料金:大人(中学生以上)800円 小学生 400円
「京の冬の旅」非公開文化財特別公開 醍醐寺 理性院|【京都市公式】京都観光Navi
フレンチカフェでほっと一息
「京の冬の旅」では、非公開文化財の中からお好きな3カ所を拝観してスタンプをもらうと、指定の場所でお茶とお菓子などの特典が受けられる「ちょっと一服」というお得なスタンプラリーが開催されます。
今回は醍醐寺霊宝館の中にある「フレンチカフェ ル・クロ スゥ ル スリジェ ~桜の樹の下で~」にお伺いしました。特典では、ホットコーヒー・ダージリンティー・玉露から1種類を選ぶことができるので、今回は玉露をいただきます。
フランスで人気が高いカラフルな南部鉄器でいただく玉露で、冷えた体が温まります。芳醇な香りでまろやかな玉露は甘味とも相性が良さそうです。「醍醐寺の石畳」というしっとり濃厚なガトーショコラが人気なので、気になる方はぜひ注文してみてくださいね!ここは名前のとおり、桜の木に囲まれたカフェなんです。また春にも訪れて、醍醐の花見を楽しんでみたいですね。
店舗情報
店舗名:フレンチカフェ ル・クロ スゥ ル スリジェ ~桜の樹の下で~
場所:醍醐寺霊宝館
営業時間:11時~16時(ランチは14時まで)
定休日:毎週月曜日・年末年始(月曜日が祝日の場合、春期・秋期、2月23日、毎月29日は営業)※12/31~1/3は休み
公式HP:https://www.daigoji.or.jp/shop/sous-le-cerisier/
京阪バスで京都駅へ
帰りは醍醐寺駐車場にある京阪バス「醍醐寺」バス停、または醍醐寺前の「醍醐寺前」バス停から301番に乗車し、「京都駅八条口」バス停で下車するとバス1本で京都駅前まで到着できます。
所要時間は約30分、運賃は280円です(※2022年12月現在)。バスは約30分に1本程度運行します。
最寄りの地下鉄駅は「醍醐駅」。地下鉄東西線で、市内中心部に向かうこともできます。
時代でうつろう美を感じて
今回のルートでは「京の冬の旅」初公開の寺院を中心に、徳川家康・豊臣秀吉ゆかりの文化財を鑑賞しました。家康が土地を寄進した東本願寺では近代和風建築や竹内栖鳳の障壁画を楽しみ、上徳寺では家康やその側室・阿茶局に関わる貴重な寺宝を拝観しました。また、醍醐寺では秀吉の「醍醐の花見」に代表される華やかな桃山文化を、伽藍や庭園、金の天目茶碗などの寺宝から伺うことができます。「京の冬の旅」では京都の歴史や文化の層の深さをぜひ味わってくださいね。
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記事を書いた人:Kyoto Love.Kyoto
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京都の街、そして京都にかかわる人たちの役に立ちたい。そんな想いを原点に、人と人、人と地域との交流のなかで見つけた物語をまちかどの語り部たちが発信しています。智恵の循環が紡ぎ出す、京都人でもよく知らない京都、そして深遠なる京都の魅力を伝えていきます。
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