丸竹夷(まるたけえびす)♪通り名の歌で覚える京都の主要な通り・道 ~観光に役立つ京都マップ~

京都観光のポイントのひとつ、それは主要な通り名を覚えておくことです。通り名が分かると地図が理解しやすくなります。タクシーに乗って目的の場所を伝えるときも、「京都市上京区〇〇町」と町名で言うより「千本今出川(千本通と今出川通の交差するところ)」などと言う方が伝わりやすいなど、メリットがたくさんあります。

京都の「通り名のわらべ歌」とは

わらべ歌に出てくる通りの範囲

※この地図は京都市内の通りを分かりやすくデフォルメして作成したものです。縮尺などは正確ではありません。

今回は、特に京都の中心部の通りと、その通りを覚えるための「わらべ歌」をご紹介します。名探偵コナンの劇場版アニメ「迷宮の十字路」で使われていたこともありますね。
京都市役所の向かい、本能寺会館の前に通り名の歌が聞けるユニークな案内装置がありますので、ぜひその音源を聞いてみてください。

ハンドルを7回まわしてボタンを押すと、通り名の歌が流れてくる案内装置

 

 

東西の通りと南北の通りにそれぞれの歌があります。様々なパターンの歌詞がありますが、代表的なものと歌われている通りについてご紹介します。

東西の通り

東西の歌「まるたけえびす(丸竹夷)」の歌詞

まるたけえびすにおしおいけ(丸・竹・夷・二・押・御池)
あねさんろっかくたこにしき(姉・三・六角・蛸・錦)
しあやぶったかまつまんごじょう(四・綾・仏・高・松・万・五条)
せきだちゃらちゃらうおのたな(雪駄・魚棚)
ろくじょうさんてつとおりすぎ(六条・三哲)
ひっちょうこえればはちくじょう(七条・八・九条)
じゅうじょうとうじでとどめさす(十条)

この歌では、丸太町通、竹屋町通、夷川(えびすがわ)通、二条通、押小路(おしこうじ)通、御池通、姉小路(あねやこうじ)通、三条通、六角通、蛸薬師(たこやくし)通、錦小路通、四条通、綾小路(あやのこうじ)通、仏光寺通、高辻通、松原通、万寿寺通、五条通、雪駄屋町(せったやまち)通、魚棚(うおのたな)通、六条通、三哲(さんてつ)通、七条通、八条通、九条通、十条通と、京都中心部の東西の通りが北から南へと順に挙げられています。
「ちゃらちゃら」の部分が鍵や銭の音を表しており、銭屋町通(的場通)、鍵屋町通を表しているとも言われています。雪駄屋町通は楊梅(ようばい)通、三哲通は塩小路(しおこうじ)通とも呼びます。魚棚通は現在存在せず、六条通の昔の呼び名という説もあります。
それではこの中で、京都観光で知っておきたい通りを3つご紹介します。

三条(さんじょう)通

東海道中膝栗毛の弥次さん喜多さん像

山科の四ノ宮から嵐山の渡月橋まで続く長い通りです。江戸時代は三条大橋周辺が日本橋からスタートする東海道五十三次の終点として、宿場町になりました。池田屋事件が起こった旅籠「池田屋」もここにありました。また、京都文化博物館別館(旧日本銀行京都支店)や中京郵便局(旧京都郵便電信局)など明治期の建築が多数残っている通りでもあります。堀川通~千本通間は約180店舗が軒を連ねる「京都三条会商店街」があります。

【主要駅】京阪電車 三条駅、地下鉄 三条京阪駅、京福電鉄 太秦広隆寺駅など

仏光寺(ぶっこうじ)通

鴨川から西院まで続く通りで、桃山時代に佛光寺がこの地に移転したことからこの名前になりました。境内にはその地域らしさを伝えるセレクトショップやカフェもあります。他にも、通り沿いにはおしゃれな町家カフェやショップが多く並び、楽しく散策できます。

西の方に行くと「壬生寺(みぶでら)」があります。新選組隊士の墓所や鎌倉時代から続く壬生狂言で有名です。特に節分会では、毎年たくさんの参拝者で賑わいます。

松原(まつばら)通

松原橋(かつての「五条の橋」)

平安京では五条大路にあたる通りでしたが、豊臣秀吉が五条の橋を現在の地に架けたことから二筋南に「五条通」の名前が移り、こちらは「松原通」となりました。牛若丸と弁慶の出会ったとされる「五条の橋」も本来であれば、この通りの松原橋のことになります。また、この通りには「五條天神宮」(通称「天使社」)があり、この森で牛若丸と弁慶が出会ったとも言われています。

また、松原通は清水寺や六波羅蜜寺への参詣道として栄え、清水寺付近のお土産屋がひしめくあたりは「清水坂」という名で呼ばれています。六道まいりで有名な「六道珍皇寺」や、幽霊伝説のある飴屋「みなとや幽霊子育て飴本舗」もあります。

南北の通り

南北の歌「てらごこ(寺御幸)」の歌詞

てらごこふやとみやなぎさかい(寺・御幸・麩屋・富・柳・堺)
たかあいひがしくるまやちょう(高・間・東・車屋町)
からすりょうがえむろころも(烏・両替・室・衣)
しんまちかまんざにしおがわ(新町・釜座・西・小川)
あぶらさめがいでほりかわのみず(油・醒ヶ井・堀川)
よしやいのくろおおみやへ(葭屋・猪・黒・大宮)
まつひぐらしにちえこういん(松・日暮・智恵光院)
じょうふくせんぼんさてはにしじん(浄福・千本)

この歌では、寺町通、御幸町(ごこまち)通、麩屋町(ふやちょう)通、富小路通、柳馬場(やなぎのばんば)通、堺町通、間之町(あいのまち)通、東洞院(ひがしのとういん)通、車屋町通、烏丸(からすま)通、両替町通、室町通、衣棚(ころものたな)通、新町通、釜座(かまんざ)通、西洞院(にしのとういん)通、小川通、油小路通、醒ヶ井(さめがい)通、堀川通、葭屋町(よしやまち)通、猪熊(いのくま)通、黒門通、大宮通、松屋町通、日暮(ひぐらし)通、智恵光院(ちえこういん)通、浄福寺(じょうふくじ)通、千本通と、京都中心部の南北の通りが東から西へと順に挙げられています。

それでは寺町通~千本通の中で、京都観光で知っておきたい通りを3つご紹介します。

 この地図は京都市内の通りを分かりやすくデフォルメして作成したものです。主要な通りだけを記載しています。

寺町(てらまち)通

寺町(てらまち)通

平安京のもっとも東にある東京極大路でした。豊臣秀吉の京都大改造で寺院を集中的に並べたことからこの名前で呼ばれるようになり、廬山寺、革堂(行願寺)、本能寺、矢田寺など有名な寺院が数多くあります。

四条通から五条通間は、戦後~バブル期に電気店や電子部品を売る店舗が軒を連ね、電気街として賑わいました。御池通から三条通間は寺町専門店会商店街、三条通から四条通間は寺町京極商店街、どちらにもアーケードがあり毎日多くの人が集まります。一保堂、鳩居堂、三嶋亭、小野数珠店など老舗もたくさん。御池通には京都市役所もあり京都での生活において重要なエリアになっています。

【主要駅】地下鉄 京都市役所前駅

室町(むろまち)通

烏丸通の西にあり、昔から呉服問屋が多く、「室町」といえば京都の一大和装卸売産地です。かつては室町幕府の所在地「室町第(むろまちだい)」があり、花の御所とも呼ばれました。祇園祭では古い商家が秘蔵の品を披露する「屏風祭」が華やかに行われます。山鉾町でもあり、前祭では山伏山、菊水鉾、鶏鉾、白楽天山。後祭では役行者山、黒主山、鯉山が豪奢に並び建ちます。

西洞院(にしのとういん)通

明治中頃まで西洞院川が流れており、その水で染屋や紙漉き屋が栄えました。剣術家の吉岡憲法が考案した黒染「憲法染」や、古紙を漉きなおした再生紙である「西洞院紙」が生みだされました。武者小路千家の官休庵や薮内流の燕庵(えんなん)など有名な茶室があります。金色の鳥居で有名な御金(みかね)神社もあり、行列ができることもしばしばです。

おわりに

丸竹夷の通り名歌はいかがでしたでしょうか?どの通りにもそれぞれ、京都の歴史が詰まっています。京都に来られた際は観光スポットを巡るだけではなく、「丸竹夷に押・御池」と歌いながら街をゆったりとお散歩して史跡やお店巡りを楽しんでくださいね!今まで知らなかった京都に、ばったりと出会えるかもしれません。

その他、京都の主要な通りについての説明はこちらもご覧ください。

知っておくと便利!京都の主要な通り・道 ~観光に役立つ京都マップ~ - 京都観光Naviぷらす

【ミニコラム】通り名が愛称の京都のペンギン 

「まる」、「たけ」、「えびす」、「おっしー」。実は京都水族館にいるペンギンは京都の通り名にちなんだ名前なんです。京都水族館といえば、「京都ペンギン相関図」がたびたび話題になるユニークな水族館ですが、なぜペンギンに通り名をつけているのでしょうか?京都水族館企画広報チームの杉山さんに聞いてみました。

通り名を名付けた理由

杉山さん「いま京都水族館には61羽のケープペンギンがいるのですが、2014年から京都の通り名を名付けるようになりました。京都にある水族館なのでこの土地になじむようにとの考えです。京都の街並みを歩いて散策するように、それぞれのペンギンのことを知って名前を覚えてもらい愛される存在になってほしい!という想いがこもっています。名づけのルールはないのですが、ペンギンたちの印象や行動を参考にして、それぞれの子に合うように名付けています。『さくら(桜馬場通り)』などは公募で決めた名前なんですよ。」

画像提供:京都水族館

YouTubeには「京都水族館のスタッフが歌う 京都の通りの数え歌」も公開されています。是非聞いてみてくださいね。

参考文献:京都・観光文化検定試験 公式テキストブック 淡交社、ビジュアル・ワイド 京都の大路小路 小学館
音源協力:KYOTO RECORDS、京都水族館

記事を書いた人:Kyoto Love.Kyoto

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