京都レストランスペシャル・アンバサダーインタビュー まいまい京都代表 以倉敬之さん
人と人をつなぐ舞台装置としての食と街。
京都レストランスペシャル・アンバサダー特別インタビュー第三弾でご登場いただくのは、「街を歩くことそのものが、街の独自性に出会うこと」と話す以倉敬之さん。まいまい京都代表として、これまでもまち歩きのさまざまなツアーを実施。なかでも食をめぐるツアー企画は人気を博してきたといいます。そんな以倉さんは、自身は美食家ではないので食文化そのものを語ることはできないと断りつつ、「食」が街にもたらす影響や役割についてはずっと関心があったといいます。そこで、街を彩る飲食店の持つ魅力や、人を起点にした食の役割についてお話を伺いました。
京都レストランウインタースペシャル2023(2/1~3/27)
京都の有名料理店約150店舗でこの冬限定のメニューが特別価格で楽しめます。人気の名店で気軽に冬の京都の味覚をお楽しみください。
プロフィール
大阪府生まれ。まいまい京都代表。岸和田高校中退後、バンドマン、吉本興業の子会社勤務、イベント企画会社経営を経て、2011年「まいまい京都」を創業。2018年には「まいまい東京」、2021年には「まいまい東海」も開始した。NHK「ブラタモリ」清水編・御所編・鴨川編に出演。共著に「あたらしい『路上』のつくり方」。
京の食文化は、街の人々の“おいしい”という感情が育んできた。
行き交う人々こそが街の賑わいと活力の源泉であることから、京都市では2010年に「歩くまち・京都」憲章を定め、人が主役の街づくりを推進してきました。それとほぼ時を同じくしてスタートしたのが、以倉敬之さんが代表を務める「まいまい京都」。地形や考古学、食文化や仏像など、およそ600人を超えるさまざまな分野のスペシャリストがそれぞれ独自の視点で京都をガイドするまち歩きツアーとして人気を集め、NHKの人気番組「ブラタモリ」にも企画協力されてきました。
まいまい京都のツアー企画の根底には「ガイドする人の魅力」があるといいます。訪問するスポットやテーマありきではなく、その人の話を聞いてみたいと思える人にガイドを打診するところから企画がスタートするのだと以倉さんは話します。それにはやはり「旅の魅力は街の魅力であり、街の魅力は人の魅力である」という原点があり、旅という体験はリアルな人とのコミュニケーションこそが醍醐味であるという、以倉さんの思いが込められているのだそうです。
以倉さん「飲食店に出かける理由って、ただおいしいものを食べたいからだけではなくて、大将のつくるあの料理を食べにいこうとか、もっといえばお店のお母さんに会いにいくとか、お店の人や常連の仲間とおもしろい話をしながら食べるからおいしい、ということだってあると思うんですよね。歴史や文化も結局は人がつくってきたもので、それは食だって同じはずだと考えているんです」
素材の良し悪しや料理の技術だけではなく、人の感情によっておいしさは生まれている。以倉さんは、食文化を街という単位で見ること、とりわけ歩く速度で街を見ることでしか気づけない、食文化の特徴が京都にはあるのだといいます。
以倉さん「たとえば京都はおまんじゅう屋さんが多いので、お店の軒先の張り紙が変わり、季節のお菓子が並ぶことで四季の移り変わりを感じることができます。これもある意味では食の文化ですよね。また、京都はパンの消費量が日本屈指なんですが、朝食には食パン、が根付いているんですよね。これは江戸時代からのご飯を炊く時間が影響したのではないでしょうか。江戸が朝炊きなのに対して、京都や大阪は昼炊きで、朝は茶粥等で済ませていた。それで西洋からパンが入ってきた時、いち早く朝食に取り入れたのではないかな…と。他にも、なぜか花街周辺にはお好み屋さんが多かったり。これも謎です。でもなにか理由が必ずあるはずなんですね」
おいしさの理由を学ぶ。その気づきこそが最高のスパイスになる。
街の魅力は人の魅力であると話す以倉さん。その信念に基づき、まいまい京都ではこれまで何度も店主と語るグルメツアー企画を催してきました。そのなかにはウインタースペシャルに参加しているお店も含まれています。たとえば祇園祭の時期に行われた木乃婦でのツアーでは、祇園祭に欠かせない鱧(はも)料理をいただきながら、ご主人から祇園祭と夏の京料理のかかわりや、器の取り合わせ、山鉾町のしつらえなどについてお話しいただいたといいます。
以倉「老舗の有名店やお気に入りのレストランで食事するにしても、ご主人やシェフのお話をゆっくり聞くことってなかなかできないですよね。仮にチャンスがあったとしても、それなりに自分も料理の知識がないとうまく話せないかもしれないという不安がある。そういう人たちのニーズに応える意味で、まいまい京都のツアーは人気がありますね。やっぱり、なぜこの料理はこんな味がするのか?どこが他のお店と違うのか?そういう話をお店の人に直接伺うことでその秘密が理解できると、さらにおいしさが増すこともあると思うんです。それにおいしいと笑い合って、その幸福感を共有できることも食事の醍醐味。ツアーで初めて出会った知らない者同士が、同じ関心と同じ価値観をその場でシェアできる。それにはやっぱり食が最適なんですよね」
また、京都の飲食店に対する印象として、古いお店と新しいお店がうまく共存できていると以倉さんは話します。ひたすら新しいもの探し求める東京や大阪とも、古いものが古いまま残っているだけで外から新しいものがなかなか入ってこない田舎ともどこかひと味違っていて、京都は内側にある古いものを格上としつつ、外からも新しいものがどんどん入ってきて互いに切磋琢磨しているハイブリッドな街。とりわけ世界的観光都市であるがゆえに、日本の伝統文化を守る老舗へのリスペクトと、マーケットとしての魅力から東京や海外からのブランド進出がゆるやかに共存できているのが京都の特徴なのだといいます。
ゆっくりと自分の足で歩きながら、街の風景やそこに暮らす人々の生活といった、いわば地べたの位置からミクロの視点で京の食文化をじっと眺めてみること。それによって、お店を選ぶ基準がいつもと少し変わったり、あるいはいつものお店が違う視点で見えてきたり。そんな京の食文化の再発見のきっかけにつながるかもしれません。
京都レストランウインタースペシャル・アンバサダー 以倉様からのメッセージ
京都の魅力は、冬にこそあり。
凛とした寺社や庭園、新年に華やぐ町家のしつらえ。
そして、旬の魚介や冬野菜が揃い、食の真髄を存分に楽しめる「京都レストランウインタースペシャル」。
花も紅葉もなくなってこそ浮かび上がる、素顔の京都を堪能してください。
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記事制作:ENJOY KYOTO
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企画:京都レストランスペシャル
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「京都レストランウインタースペシャル」では、京都の有名料理店・レストランなどで京都レストランウインタースペシャル限定のメニューが特別価格で楽しめます。人気の名店で気軽に冬の京都の味覚をお楽しみください。