
執行役員 中村祥二さん(左)
チーフディレクター 西尾篤哉さん(右)
企画提案力で、多くの人の心を動かし、価値を最大化。コンベンション事業を通して、京都の魅力を世界に発信
―執行役員 中村祥二さん
国際会議や学会、アートイベントなど、さまざまな催しの企画や運営を手掛ける日本コンベンションサービス株式会社(以下日本コンベンションサービス)。同社の幅広いネットワークや課題解決力で、イベントを成功させるとともに、京都の魅力を広く届けています。
京都の文化体験や観光といった資源が、国際会議やイベントを後押し

取引先は日本にとどまらず、海外のイベント主催者など、グローバルな舞台で日々仕事に取り組む日本コンベンションサービス。執行役員の中村祥二さんに日本コンベンションサービスの事業内容や、京都の魅力をどのように発信しているのかについてお話を伺いました。
「社名にもあるように、『コンベンション(会議、集会などの意)』を軸に事業を行っています。例えば、国立京都国際会館などを中心に、京都で開催されている国際会議の企画や運営などを担当することもあります。そのほか、学術集会、博覧会などにおける施設の選定や計画の立案、当日の運営も。また、通訳や翻訳サービスの提供など、業務は多岐に渡ります」

これまで京都ではさまざまな国際会議が開かれてきました。日本国内の都市のなかでも、京都は特に人気が高く、東京に次いで第2位なのだそう。主催者側にとって、京都で開催することに深い意義があるーーそう中村さんは話します。

「京都の街中には文化資源や観光資源が豊富にあります。例えば、国際会館で数日間会議が続いたとしても、少し足を延ばせば歴史や文化に触れられる環境があるのは京都の強み。その魅力をより深く伝えるため、アフターコンベンションと呼ばれる参加者向けの観光ツアーなどを企画して提供することもあります。京都の良さを知ってもらえる良い機会です。人々の交流を深めるポテンシャルがこのまちにはあると感じています」
また、国際会館で 2021 年から毎年開催されている現代美術のアートフェア「Art Collaboration Kyoto(ACK)」の会場運営を担当しているのも同社。
「ACK は、美術作品の展示や販売だけではなく、キッズプログラムやトーク等、次世代のアートの担い手を育成する教育プログラムも展開されている国際的なイベントです。美術だけではなくさまざまな分野や領域とのコラボレーションが実現されていて、私たちもやりがいをもって会場運営に携わらせていただいています」


さらに、京都に根差した産業や文化を活用し、その保全や継承につなげる取り組みとして力を入れているのが「ユニークベニュー」の提案です。
「レセプションやパーティー、各種イベントの会場として、神社仏閣や美術館、博物館を活用させていただく『ユニークべニュー』を積極的に提案しています。普段とは異なる空間で歴史や文化に触れながら交流することで、特別な体験が生まれます。ユニークベニューにおける収入は、施設側にとって新たな収益源の確保となり、文化財の保全に有効活用することで、地域の活性化や魅力化にもつながります。弊社は二条城のイベント関連のサポートも行っており、海外アーティストのアートイベントの企画や運営にも携わりました。世界遺産に登録され、築城から約400年以上の時を経た今も、当時の文化を感じさせる二条城。その歴史的な魅力を最大限に活かし、国際的なアーティストとコラボレーションできたことは大きな意義がありましたし、伝統と芸術とが織りなす、新たな文化体験の創出につながっています」と中村さん。悠久の歴史を持ち、豊かな文化を育んできた京都。さまざまな可能性を秘めているのです。
課題を掘り起こし、今あるものの価値を最大限高めていく

行政や企業が抱える課題への解決策となるようなイベントを提案することもあります。企画から手配、管理など、トータルでプロデュースできるところが同社の強み。そこで大切なのは「深堀り思考」だという中村さん。
「まずは『なぜ?』と疑問を持つことです。見つけた問いからまた疑問が湧いてくる。それを繰り返していくことで、多角的に物事が見え、本質に迫ることができると思います。また、世の中のさまざまなことに興味・関心を持ち、アンテナを張っておくことは欠かせません。京都には歴史や文化が息づいていて、街を歩くだけで発見があり、身近に学べて体験できる機会に恵まれています。京都という場所は知識を豊かにしてくれますね」
「課題に気づく力は、情報をキャッチする感度と、深堀りする姿勢があってこそ培われていく」と中村さんは語ります。
「ある国際会議の運営をするなかで、会議で議論されている内容を市民が知る機会が限られていることが課題だと感じました。そこで、市民との接点を増やすために、会議のプログラムに市民向けのセッションを設けて交流の場を作りました。それにより、市民との対話が生まれることで、議題への関心や意識が高まり、地域活性化にも繋がりました。弊社の強みは、今あるものをさらに広く届け、価値を最大化すること。その価値をどれだけ積み重ねていけるかが、私たちの腕の見せどころでもあります」
さらに中村さんは、仮説を立てることの重要性についても話します。
「まずはしっかりと仮説を立て、その上で実際に現場を訪ねたり、詳しい人に話を聞きに行ったりします。例えば、行政やプロジェクトに関連する事業者に疑問を投げかけ、意見交換をすることで、リアルな声を聞くことができ、新たな気づきを得られます。すると、自分の仮説が正しいのか、あるいは再検討が必要かが明確になり、次の企画のヒントになることも。調査やヒアリングをしながら企画の種を育て、形にしていきます。すべてが成功するわけではありませんが、このように検証を重ねるプロセスがとても重要だと思っています」
コミュニケーションで社会の発展や人々の幸せに寄与

同社を志望する人の動機はさまざまです。オリンピックのような大規模なイベント運営に携わりたいといった夢を掲げる人や、生まれ育った京都で国際会議の仕事を通してまちづくりに関わりたい人ーーそのなかで共通しているのは「パッション」だと中村さんは言います。
「自らやりたいことを見つけてチャレンジする意志の強い人や、社会に貢献したいという思いをもっている人たちが多いですね。専門性があることはすばらしいですが、それよりも、想いが大切だと考えています。企画を実現することは簡単なことではありません。諦めずに想いを持ち続け、それを言葉にして伝えること。その熱意が人の心を動かします。周りをどんどん巻き込んでいくようなパワーのある人が活躍しています」と、中村さんの言葉にも熱がこもります。
そうした人材を育てるため、従業員それぞれの意志を尊重し、配属や成長の機会にも配慮しています。新卒社員として入社すると、1年目は全ての部署を2ヶ月ずつローテーションし、事業内容や自社の強みについて理解を深めることからはじめます。
「まずは自社のことをしっかりと知る必要があると考えています。イベントだけでなく、通訳や翻訳、まちづくりなど、いろいろな部門があって提供できる価値も多種多様。お客様に対して多角的な視点でサービスを届けられるようにするために、1年かけてじっくりと学ぶ機会を設けています」
入社2年目で国際会議の担当になる人もいるほど、若いうちからさまざまなことを体験できるのも同社の特徴です。

そして、多様な経験を積みながら同社が目指すのは社会の発展と人々の幸せ。コミュニケーションを通じて社会の発展に貢献し、人々の幸せにつなげる、という理念を掲げています。
「クライアントである主催者はもちろん、来場者の方々にとっても満足度が高い体験を生み出すこと。運営に携わる私たち自身にとっても、誇りを持てる仕事であることが大切です。関わる人すべてに価値を提供していく。その共創の積み重ねが、地域、そして京都全体の活性化につながっていくと考えています」
地域の人たちと協力して世界に誇る京都を伝え続けていく

―チーフディレクター 西尾篤哉さん
行政の課題解決や京都の魅力発信など、地域に寄り添いながら活躍する、現在入社7年目のチーフディレクター・西尾篤哉さん。これまで多くの人たちに協力してもらいながら、数々のイベントを実現してきました。
地元の祭りが原点。地域の魅力を世界へ発信する仕事

日本コンベンションサービスを志望した理由の一つが、西尾さんの地元、堺市の祭り。
「五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈願して、布団を重ねた大きな御輿を担いで練り歩く『ふとん太鼓』という祭りがあります。祖父がその祭りに関わっていて、小さい頃からずっと参加してきました。現在ももちろん参加していますが、継承者の減少や経済的な理由で後世へ伝えていくことの難しさを感じることも。どうすればもっと広く知ってもらえるのか、今後も受け継いでいくことができるのかを考えるなかで、文化を支える人の活躍の場や機会を作りたいと思うようになりました。仕事を通してさまざまな経験をするなかで、よりその想いが強くなったと感じています」と西尾さんは話します。

国際会議や大規模なスポーツイベント、最近では大阪・関西万博にも携わり、世界を舞台に活躍する同社。京都や地域の魅力を世界に発信する役割も担っています。

「大阪・関西万博では、『EXPO KYOTO MEETING』という事業に取り組みました。文化や伝統芸能など、京都ならではの魅力を世界に届けるべく、京都府、京都市、商工会議所などさまざまな関係者と連携しました。どうすれば来場者に楽しんでもらえるのか、どのような発信をすれば興味を持って足を運んでもらえるのかについて、ディスカッションを何度も行い、具現化していくために必要なことを一つひとつ積み上げていきました」
ゴールを見据え、ポジティブ思考で成功へと導く

大勢の人たちと連携し、さらにクライアントや関係者に心から満足してもらうことは大変でもある一方で、とてもやりがいを感じていると西尾さんは話します。
「プロジェクトごとに成功の形はさまざまです。例えば、イベントであれば、多くの方に来場していただくことが目標になる場合もありますし、学会であれば、発表者にも来場者にも快適な環境をセッティングすることが求められます。クライアントが何を求めているのかを考え、それに応じて提案し、ブラッシュアップを重ねていく。ゴールが見えてきたらそこに向かって突き進むのみ。周りの人に協力いただきながら、誠意を持って想いを言葉にし、どのように伝えたら理解してもらえるかを常に考えています。参加者の想いが一つになって目標を達成し、関わってくださった人たちの喜んでいる様子を見られたときが何よりうれしいです」

クライアントに最大限応えようとする姿勢や幅広い提案力は、社内の前向きな風土も関係しているのだそう。
「たとえ実現が難しそうなことでも、どうすれば実現できるかを一緒に考えてくれたり、アドバイスをくれる仲間がいます。業務に集中して静かなときもありますが、会話が活発に飛び交うことも。目標達成のために何を学ぶべきか、どのステップを踏むべきかを前向きに考え、吸収していく人が多いです。みんな胸に熱い想いを抱いています」

そして、京都で働くことの魅力について、西尾さんはこう話します。
「京都には歴史や伝統、文化など奥深い魅力が詰まっています。その価値をツアーやイベントなどを通して、地域の方々はもちろん、日本全国、世界の人々へ発信できることはとても価値のあることだと感じています。全力で取り組めば共感が生まれ、地域の人や世界の人との接点が広がっていきます。これまで弊社が培ってきた知見や課題解決力で、今あるものをさらに魅力的なコンテンツとして発信していきたいと考えています」

2人の会話―――
中村さん―
毎週のように企画の作戦会議をしていますよね。
西尾さん―
今、京都のまちが抱える課題は……なんてことは、しょっちゅうですね!
中村さん―
ディスカッションを重ねることで、自分だけでは気づけなかった意外なヒントをもらえることも。有意義な時間になっています。
▼京都で働きたい人と観光事業者をつなぐメディア「京都観光はたらくNavi」
https://job.kyoto.travel/
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記事を書いた人:株式会社文と編集の杜

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京都で活動している編集・ライティング事務所。インタビュー、ガイドブック、書籍などジャンルを問わず、さまざまな「読みもの」に携わっている。近年は、ライティングに関するイベントの開催も。
https://bhnomori.com/


