ウィズコロナの今、そしてポストコロナのこれからを考え、広がり始めている「黙食」。マスクを外している間、会話をせずに黙って食べることが多くの飲食店で呼びかけられ、私たちの間でもマナーとして浸透しつつあるかと思います。
それでもやっぱり、「黙って食事をする」と聞くと、ちょっと味気ないな…という人も多いのではないでしょうか。そんななか、飲食店でも、さまざまな新しい食の楽しみ方を提案しています。
今回は、これまでの黙食のイメージを覆すような、食と音楽が融合した「音で楽しむ“黙食”」体験を紹介します。
1.「EATBEAT!」とコラボした黙食体験
京都で本場四川料理が楽しめる「祇園四川 燕来房(ヤンライファン)」。こちらのお店では、新型コロナウイルス感染防止のため、2020年8月に店内を改装して半個室を増やすなど、さまざま対策を行ってきました。
しかし現在のコロナ禍の中では、飲食時に黙食を推奨しなくてはならない状況が続いています。そこで、お客さまが自身のイヤフォンで曲を聴きながら黙食する、「音で楽しむ“黙食”」を始めることになりました。
この企画の仕掛け人となったのは、クリエイティブディレクターであるTOMODACHI Ltd.代表の梶友宏さん。中華ならではの「炒める」「揚げる」などの躍動感に注目したことから企画がスタート。
「食事の大きな目的の一つである“会話”をすることができない中で、会話に代わる楽しい体験を提供したいと考えました」(梶さん)。
そこに、燕来房の原料理長の「辛いだけではない四川料理のおいしさ」を伝えたいという思いが加わり、目と舌で味わうだけでなく、音でも楽しめる黙食体験が形になりました。
「四川料理のおいしさを音とともに楽しんでもらえると嬉しいです。コロナ禍の今、少しでも楽しいニュースを届けることで、飲食業界が良い方向に向かうことができれば」(原料理長)。
この企画に合わせて、食と音楽の融合イベントを手がける料理開拓人の堀田祐介さん(右)、音楽家のhenlyworkさん(左)のユニット「EATBEAT!」が協力し、黙食中に楽しむ曲「The Beat of Sichuan!(ビートオブ四川)」を制作しました。
ベースとなるアジア調のメロディに、四川料理の「沸騰魚(フェイタンユイ)」、「麻婆豆腐」、「エビチリ」の切る・漬ける・揚げるといった調理音や、鴨川の流れや舞妓さんのおこぼ(下駄)の音など、京都ならではの音を重ねてリミックスした「The Beat of Sichuan!」。
一曲のなかにいろんな音が登場するので、「これは中華鍋の音?」「この音は鴨川?」など、音の正体を考えるのも楽しいです。
2.「音で楽しむ“黙食”」の体験方法と魅力を紹介
それでは、燕来房で実際に体験できる「音で楽しむ“黙食”」の方法を紹介します。ちなみにこの「音で楽しむ“黙食”」は、昼でも夜でも、お店のどのコースを注文しても楽しむことができます。
まず来店すると、お客様にはメニューとともに曲を聴くことができるQRコード付きのショップカードが渡されます。料理が出てくるまではマスクを付けて会話を楽しみましょう。料理が運ばれてきたら、先ほど受け取ったショップカードのQRコードからアクセスします。
アクセスしたら、持参したイヤフォンを使って「The Beat of Sichuan!」を聴きながら、黙食を楽しみましょう。「The Beat of Sichuan!」は、高級感あるお店の雰囲気に合った、優雅で気品を感じ曲調に仕上がっており、食事中のBGMとしても全く違和感なく、気持ちよく聴くことができます。
イヤフォンで曲を聴きながら食事をすると、自然と黙食を実践することができ、「会話がなくて寂しい」といったこともありません。さらに、食材や調理法について考えながら集中して味わうことで、より深く料理と向き合えている気がします。
「The Beat Sichuan!」には、食材を炒める音や、鴨川のせせらぎなど、さまざまな調理音や生活音が登場します。メロディ×調理音+生活音、という不思議な組み合わせではありますが、たくさんの音が本当に自然に組み合わされています。
この曲はお店のHPから誰でも聴くことができるので、気になる方はぜひチェックしてくださいね。
また、今回「The Beat Sichuan!」のために調理音を収録した「沸騰魚(フェイタンユイ)」「麻婆豆腐」「エビチリ」のメニューには、原料理長が料理について説明する動画のQRコードが付いています。こちらを読み込み、料理について解説を見ながら食事を楽しむこともできます。
3. 黙食体験のための「燕黙食コース」を期間&数量限定で提供
この「音で楽しむ“黙食”」体験は、「祇園四川 燕来房」にて2021年4月15日(木)から提供がスタートしています。昼でも夜でも、どのコースを注文しても体験することができるので、この期間に来店される方は、ぜひイヤフォンを持参して体験してみてください。
さらにこの期間、黙食体験のための「燕黙食コース」1万円(税・サ込)を同日4月15日(木)~5月9日(日)まで数量限定で提供。「The Beat of Sichuan!」の題材となった料理でもある「沸騰魚(フェイタンユイ)」を含む特別コースで、2種類のエビチリ食べ比べや看板メニューのよだれ鶏、麻婆豆腐なども楽しめる充実の内容です。
昨年、半年限定で提供して人気となった「沸騰魚(フェイタンユイ)」は、白身魚と野菜の上に唐辛子を盛り付け、熱々の油を注いで仕上げた料理。原料理長が「四川のアヒージョ」と呼ぶ一品で、香ばしい香りが食欲をそそります。この機会にぜひ食べてみてくださいね。
お店は現在も、感染症防止のため1日の入店組数を限定しています。期間限定&数量限定の「燕黙食コース」はもちろんですが、来店の際は必ず予約を。営業時間などの詳細もお店のHPをご覧ください。
祇園四川 燕来房
住所:京都市東山区衹園町572
アクセス:市バス「衹園」から徒歩5分
電話:075-741-8338
ホームページ:https://yanlaifang.co.jp
ウィズコロナ&ポストコロナ時代、京都で生まれた新しい黙食の楽しみ方を紹介しました。
音楽家ユニットと料理人のコラボレーションによって生まれた、「音で楽しむ“黙食”」。これからの時代のニューノーマルとなるかもしれない、新しい食の楽しみ方を体感してみませんか。
※掲載している価格は2021年4月時点の税込価格です。
※「QRコード」は(株)デンソーウェーブの登録商標です。
取材・編集:JTBパブリッシング
-
この記事を書いた人:るるぶ編集部
-
全国各地の「見る」「食べる」「遊ぶ」を徹底的にガイドした旅行情報誌『るるぶ』の編集部です。神社仏閣やグルメ、おみやげ、話題のニュースポットなど、京都のお出かけにかかせない情報を幅広く網羅。旅行者はもちろん、地元の方にも役立つ情報を日々チェック!